(2019/05/01)米国発配車アプリサービス会社「UBER」の上場申請書類に記載されたリスク声明が証券市場の注目を集めている件について

おはようございます。

令和元年(2019年)5月最初の記事です。

日本関連のSNSやツィッターが新元号「令和」で埋め尽くされ、新しく即位された天皇陛下をお迎えし、新しい時代を告げるにぎやかな雰囲気の世の中、続く連休にそろそろ疲れてまいりましたビルメン王(@shinya_ueda)提供のブログ配信記事をお送りします。

Amazonジャパンが、プライム会員の値上げを実施するようです。

いままで、年間会員としては3,900円であったのを、一気に4,900円に値上げします。

同じような会費制サービスで筆者が思い出すのは、「コストコ」の年間パスポートであり、こちらが年間4,000円程度でコストコでの買い物し放題になるということを考えれば、かなり思い切った値上げに踏み切ったといえそうです。

それでも、Amazonプライムでの配送料「無料」のサービスになれてしまった消費者が、簡単に離れるとは思えず、すでに日本に4,000万人いると言われるAmazon会員(無料会員も含む)の動向に特段の変化はないと思われます。

このインターネット巨大企業は、リアル店舗との熾烈な競争や当局からの独占禁止法からみの追求を乗り切り、すでに世界トップクラスの時価総額を誇るに至りましたが、これから上場してインターネットテクノロジー企業として続こうとする会社の将来はどのようになるでしょうか。

現在、投資家まわり(投資家説明、ロードショーともいう)を続けて米国で上場準備を進めているアプリ歯医者サービス「UBER(ウーバー)」のことです。

UBERは、タクシーサービスといった既存の配車、人物輸送のサービス業界との熾烈な争いを制しながら、巨大化し、すでに米国2位のLIFTは米国市場に上場を果たしました。

いよいよ、配車アプリサービスの草分けであり世界1位にあるとみられるUBERの上場を控え、資本市場は沸き立っています。

なにせ、1,000億ドル(11兆円)にものぼる巨大上場企業が突如として証券市場に登場し、一般の投資家も売り買いすることができるようになるわけです。

投資の世界のダイナミズムを感じざるを得ません。

しかしながら、そんな重要な局面にあって、UBERが投資家向けに公開した一つの課題認識のフレーズが、投資家心理を一気に冷やす様相になっています。

それは何かと言いますと、同社が米国証券当局に提出した上場申請書類の中に、配車サービスを担う運転手の一部から雇用関係の認定や、損害賠償を求める訴訟を世界中で起こされているという実態を強く想起させる言葉です。

曰く、

「運転手が業務を請け負う個人事業主ではなく、(UBERの)従業員として分類された場合、当社の事業は悪影響を受けることになる」

というのです。

同社は、タクシー会社やバス会社といった、通常の旅客配送サービスにおける「運転手」を直接雇用せず、配車を待つ顧客と配車サービスを提供したい個々のドライバー(と車)をアプリケーションでその都度繋いでマッチングする、というサービス形態、要するに「配車プラットフォーム」「胴元」に徹することで、低コストと手間を削減した形で急速に事業を拡大してきたという背景があります。

この簡単事業モデルの根底が大きく覆される恐れがあり、上場時および上場した後の企業価値(株価)の評価にも大きく響きそうなのです。

このフレーズ(声明)が広く流布した結果、同様の事業モデルで同じようにこの持続性に課題を抱える、先に上場している同業のLIFTの株価が急落するなど、すでに影響は広く出てきています。

成長を優先し肝心な「前提」をおそろかにしたままにすると、後で大きなしっぺ返しがあるかもしれないという、良い教訓なのかもしれません。

筆者も、よい事業モデルを掴まえたと思っても、多方面から検討し、事業リスクについては詳細に検討する、そうした勇気を持って事業にあたりたいと思います。

令和の始まりにおいて、この時代が、衡平であらゆる人に開かれたものになるよう、願いつつ、本日の記事を終わります。

こちらからは以上です。

(2019年5月1日 水曜日)

▷▷次の記事は

米国発シェアオフィス最大手のWeWorkが米国証券取引委員会(SEC)に上場申請を非公式に打診