検察庁法違反

検察官のバッジ(秋霜烈日)

いち検察官(東京高等検察庁検事長)だけの定年を法律によらず閣議決定で伸ばしちゃう国日本

おはようございます。

法学部卒(法学士)でありますが旧司法試験に落ちて検察官や弁護士、裁判官にはなれなかった筆者による法律の記事です。

2020年2月現在、日本の立憲君主制民主主義国家、法に基づく支配という原則を揺るがす大事件が起こっておりますのでご説明したいと思います。

なお全くの個人の意見であり他者とは関係ないことを最初に申し上げます。

東京高等検察庁の検事長である一検察官のみに関して、定年延長を認めるという閣議決定をめぐり、政府が「法解釈を変更」したと答弁しました。

しかし、これは解釈の変更でできるものではありません。

検察官の身分の根拠となっている検察庁法は検察官の定年を六十三歳、検事総長のみ六十五歳と定めています。

例外はありません。

そして、東京高等検察庁の黒川弘務検事長は、2020年2月7日に定年を迎えたので退官したはずなのですが、2020年1月末に、国家公務員に関する一般法である国家公務員法に定めのある定年延長に基づきこの検察官のみの定年を半年間延長するという閣議決定がなされたというのです。

この点を、国会において質問された政府は、2020年2月13日の衆院本会議で、かつての1981年人事院の国会答弁でも説明された「検察官と国立大学教員は既に(一般法である国家公務員法に優先するそれぞれの特別法によって)定年が定められ、国家公務員法の定年制は適用されないことになっている」ことを変更し、「検察官の勤務延長に国家公務員法の規定が適用されると解釈することにした」、つまり法解釈を変更したと答弁しました。

すなわち、新たな政府の見解は、検察庁法の特例が「定年年齢」であり、「定年延長」は特例でないから国家公務員法を適用するというものですが、どう控えめに寄り添って解釈しても、それは一般法に優先する検察官に関する特別法である検察庁法に、「検察官の職務と責任の特殊性に基づいて」検察官の定年を六十三歳、検事総長のみ六十五歳と明記されているので、そんなの無理、できないことなのです。

どうしてもやりたいのであれば、この検察庁法という法律を国会の決議によって改正するしかありません。

これは、解釈の変更などではなくて、法律違反、違法です。

行政機関である政府が、自分で法律というルールを自在に変えながら、ゴールポストを閉じたりずらしたりしながらサッカーをプレーしているのと同じです。

3アウトでもチェンジせず、野球の攻撃を続けるようなものです。

政府は適法違法の解釈を何でも自由に「解釈」し、そして何でもできる存在になったというわけです。

森雅子法相はこの一検察官である、東京高等検察庁の黒川検事長の定年延長について「重大で複雑な事件の捜査・公判に対応するため」と説明しました。

そもそも法務省の秘書課長、官房審議官、官房長、事務次官と法務官僚のコースを歩んできた黒川氏のみがなぜ捜査や公判の指揮監督に不可欠なのか、代わりの検察官は全くいないのか、そんな答弁は全く理解できません。

ここまでして黒川氏の定年を延長するのは、いずれ検事総長に据えるつもりなのかもしれませんが、同じ手法で、検事総長としての定年65歳も、無条件に延期、つまり終身検事総長にすることだって十分可能なのです。

政府官邸が自分の意に沿った検察官僚のトップを据え続けることにより、捜査権力、訴追権力を自在に操ることができるわけです。

もう一度最初から説明します。

東京高検検事長の定年を、国家公務員法の特例の解釈変更によって「延長」しようとしている件について説明します。

法律は国会の議決によって決められますが、それはもう厳格なプロセスを経て作られます。

内閣法制局という法の番人が国会議員の意図を国民の一般意思に沿うよう、それこそ一言一句まで詰めに詰めます。

この検察庁法の定年規定も、誤解や解釈の余地が生じること無いようになっています。

そして、一般法である国家公務員法の定年延長の特例は「定年に達した職員が前条第一項の規定により退職すべきこととなる場合において」のみ適用されると書いてあります。

では、その前条第一項には、「法律に別段の定めのある場合を除き」一般的な退職規定が適用されるとあります。

つまり、法律に別段の定めのある場合、に完全に該当する検察庁法が存在する検察官に関する定年に関して、この一般法である国家公務員法の入り込む余地は「全く」「一ミリも」ないのです。

もう一度言います。

「検察庁法に国家公務員法の定年延長の特例が適用される可能性は無い」のです。

それなのに、当然、国家公務員法の条項を解釈適用して定年延長を認めることにした、というのは「解釈」ではありませんで、明確に違法、法律違反、しいて言うなら新たな「立法行為」です。

立法行為を、憲法に定める国会の決議をもって行っていないのですから、これはもう、法治国家としての体を成していない、ということになります。

「解釈するまでもなく、読めば論理的にそれ以外の可能性が無い」法文を無視した事実上の強行であり、今東京検察庁の検事長、という地位にあるという方は、法令に基づかない違法な地位の無資格のニートということなのです。

これは「解釈変更」ではなく、解釈で越えられない限界を「解釈」の名の下に軽々と越えてしまっている極めて暴力的な行為であり、法治国家の構造を、国会の議決という民主的プロセスに依らず覆してしまっている、それも強い国家権力の象徴とも言える犯罪捜査・送検・起訴を指揮する検察官においてそのような違法なことを堂々と行っているという意味において、単に頭が悪いことを大きく超えた、重大な国民への背信行為と言えましょう。

大変重大な問題です。

違法なのですから。

昨日まで法的にAだったことが、政府の閣議決定や国会答弁でいきなりBに変えられてしまったら、世の中は法治国家の原則を失い大混乱になります。

国権の最高機関たる立法府・国会は存在意味をなさなくなってしまいます。

国家公務員の定年延長は、国家公務員法第81条の3に、

【任命権者は、定年に達した職員が前条第一項の規定により退職すべきこととなる場合において、その職員の職務の特殊性又はその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるときは、同項の規定にかかわらず、その職員に係る定年退職日の翌日から起算して一年を超えない範囲内で期限を定め、その職員を当該職務に従事させるため引き続いて勤務させることができる】

と定められていることに基づいています。

この条文で大事なのは、この定年延長を可能とする規定が適用されるのが「前条第一項の規定により退職すべきこととなる場合において」と「明確に限定」されていることにあります。

では、その前条第一項ではどう規定されているのか見てみましょう。

【職員は、法律に別段の定めのある場合を除き、定年に達したときは、定年に達した日以後における最初の三月三十一日又は第五十五条第一項に規定する任命権者若しくは法律で別に定められた任命権者があらかじめ指定する日のいずれか早い日(以下「定年退職日」という。)に退職する】

と明確に記載されています。

とありまして、この規定では「法律に別段の定めのある場合を除き」としているのは、国家公務員法という「一般法」の規定は検察庁法などの「特別法」の規定には及ばないことを明確にしているのです。

そして、その特別法たる検察庁法の第22条では、

【検事総長は、年齢が六十五年に達した時に、その他の検察官は年齢が六十三年に達した時に退官する】

と規定されておりまして、同法に定年延長に関する規定はありません。

検察官に定年延長は、ないのです。

これが法律の定めです。

したがって、検察庁法に定年延長を可能とする規定を入れる法改正を国会でしない限り、検察官に定年延長の余地は一切ありません。

これが、今の日本の法令による定めです。

政府は、衆議院本会議で「検察官も一般職の国家公務員であるため、今般、検察庁法に定められている特例以外には、一般法の国家公務員法が適用される関係にある」と答弁しましたが、この答弁の説明は、特別法たる検察庁法に「定年延長なしの定年制」という「特例」がきっちりと定められているのだから、国家公務員法上の定年延長の規定は適用されないことは自明(当然)であり説明として論理破綻しています。

つまり違法です。

こんな答弁を国会においてわざわざ内閣総理大臣、首相にさせるとは、よほど頭の悪い官僚がこの答弁を作成したのか、国会をばかにした官僚組織のやけくそでクズの答弁を持たされたものと思われます。

法律に規定されていないことをやるには、国民によって選ばれた国会議員による国会で法律改正をしなければできません。

ということで、東京高等検察庁の検事長というトップオブトップの地位に、法律に基づいたその資格のない違法な人がなぜか居座り事実上それらしく振る舞い存在している、というのが現在の日本の捜査機関及び刑事事件起訴機関の現状ということになります。

今の日本では、人類の積み重ねてきた法による支配という、歴史に逆行するとんでもないことが起きたということを、ぜひ皆さんに知っていただきたいと思います。

与党だろうが野党だろうが無所属だろうが、浪人中でありましょうが、いやしくも国会議員たる皆さんもしくは国会議員を目指されている皆さんにおかれましては、政府のこんな答弁をスルーして違法を事実上許していたら、そもそも国会が成り立たない、国会議員の存在意義などないということを自覚してほしいと思います。

東京高等検察庁のホームページに、(違法な自称)検察長のあいさつとして、以下の言葉がありました。

東京高等検察庁のホームページにアクセスしていただきまして,ありがとうございます。
私ども検察の使命は,日々発生する犯罪に対し,適正な捜査・公判活動を通じ,事案の真相を明らかにし,適正な刑罰権の実現を図ることにあります。
その使命を果たすには,一つ一つの事件に適正に対処し,皆様の信頼を得ることが大切だと考えています。
当庁は,管内の地方検察庁とともに,警察等の関係諸機関と連携し,国民の皆様の御期待に応えられるよう努力してまいりますので,御理解と御協力をお願いいたします。

東京高等検察庁Webより

国民との約束である法律に基づかない地位にある違法な「自称」東京高等検察庁検察長の方のお言葉、しかと刻んでおきたいと思います。

司法試験に落ちちゃったので、検察官になれなかったこちらからは以上です。

(2020年2月18日 火曜日)

(2020/01/24)日本の大学の国際競争力をどうやったら高めることができるかという積年の「課題」に対するたった一つの究極の「解決法」をここに提案します

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