(2020/03/25)【コロナ戦役】今回のコロナウイルス感染症は、産業革命、共産主義革命、帝国主義による世界大戦、といった世界の枠組みを変えた出来事以上の大転換だと思うという話をしました

感染症の広がりシミュレーション

おはようございます。

上記の図は、人口200人の完全閉鎖された都市空間において、一人のウイルス感染者が出た場合に、どのようにその感染症が広がり収束するかという架空のシミュレーション結果です。

ランダムにシミュレーションしますので、シミュレーションごとに結果は細かく変わりますが、この4つの事例で最も「健康なままの」人が残るのは、右下の4番目の④「広範囲での社会距離戦略」をとった場合であることは一目瞭然です。

この、④「広範囲での社会距離戦略」とはどのようなものかといいますと、人口200人のこの街の8/7にあたる、実に175人に自宅待機、すなわちほとんど動かないことを命じ、残りの1/8が自由に動く、そして最初の感染源になる人はこの1/8 に含まれた場合、であり、これだけの強い移動制限をかけたところでも、実に累計で半分の人たち(100人)が、やはりこの感染症に感染してしまうというシミュレーション結果なのです。

また、隔離制作として右上②この町の一部(保菌者が発生した部分を強く封鎖)したところで、やはり外界との遮断が完全にはできない以上、結局町全体が(時間は少しだけかかるものの)感染症にかかってしまいますし、左下③適度な社会距離を取る、ことで全人口の3/4までの移動を制限したところで、やはりほぼ全員がこの感染症にかかってしまうことがわかります。

もちろん、右上①全員が自由に移動する、というのが最も短く感染症が広がり、そして急速に回復していく、というシミュレーションなのですが、現実の世界での医療体制というのには限界がありますので、この量の患者が一気に押し寄せてしまえば、医療体制は簡単に崩壊してしまいます。

ですので、理想的には④なのですが、この④というのは、人間の経済社会活動をほぼ止めよということと同値であり、行うのは勇気がいります。

しかし、欧州も米国も、中近東も東アジアも、世界は急速に隔離政策に入りました。

外出禁止令を出し、外出を取締る権限を警察や軍隊に与えているのです。

日本は、なんとか踏みとどまっているという状態ですが、これだけの感染力があることが残念ながら立証されてしまった新型コロナウイルス感染症については、本腰を入れて、「肉を切らせて骨を断つ」作戦で乗り切るしかありません。

こうした感染症について、我々が認識するべき最も重要なのは、世界のどの地域のどの国であれ、たった一箇所における感染症の観測が、一瞬にして全人類を危険に晒す可能性があるということです。

ウイルスは、鳥や豚やコウモリなどの動物に由来しています。

それが人間に感染するのですが、当初は、人間という宿主(やどぬし)にはうまく適応しません。

しかし、人間の体内の環境に適応すべく何とか増殖しているうちに、ときおり大きな変異を起こすことがあります。

もちろん、そのほとんどの変異は人間にとっては全く無害です。

しかしながら、ごくまれに、たまに、その変異のせいで感染力が爆発的に増したり、人間の免疫系への抵抗力がはるかに強まったりすることがあるのです。

そして、このウイルスの「変異株」が人間たちの間で今度は急速に広まっていきます。

これは、たった1人の人間でも、理論的には何兆ものウイルス粒子を体内に抱えることができるわけであり、それらの大量ウイルスは宿主の生きる力を利用して絶えず自己複製することができる悪魔のコピー機であるために、感染者の1人ひとりが、人間にもっと適応する何兆回もの新たな機会をウイルスに与える可能性を秘めた実験箱(ラボ)になってしまうのです。

個々のウイルス保有者は、何兆枚もの宝くじの券をウイルスに提供する発券機のようなもので、ウイルスが今後健やかに繁栄するためには、この個々の人間という宿主に「適合した」当たりくじを1枚引くだけでいい、というわけです。

こうした厄介なウイルスと戦う宿主の我々人類は、せめて人類同士は協力して、疑心暗鬼にならずに対応し、人々同士で相争ったり文句を言い合ったりせずに、ウイルスに対する戦いに焦点を絞ること、に集中したいものだと思います。

こちらからの、提言は以上です。

(2020年3月25日 水曜日)