個人の見解であり実在の組織等とは何ら関係ありません

(2020/01/04)スターバックスのような直営店方式の外食チェーンの競争戦略をおさらいしておきます

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スターバックスのようなカフェに行くとコーヒーを入れてもらえる「タンブラー」のイラスト

おはようございます。

本日は、令和2年のビジネス戦略の最初に、スターバックスのような直営店方式の外食チェーン(以下、単にスターバックスという)を選んで、その一見非合理的な戦略が企業の理念や大戦略には実は合致していたという話をしたいと思います。

スターバックスはコーヒーを売るだけの企業ではありません。

コーヒーは、コンビニコーヒーなどでどんどん競合が出てきています。

それなのに、コンビニコーヒーの数倍高いスターバックスのコーヒーは売れ続けるのです。

これは何故なのでしょうか。

スターバックスが取った出店戦略は、直営店方式と言われるもので、これは土地、建物、人員、広告手段全てをスターバックス本社が自前で用意して始めるという、ものすごく事業リスクの高い方式です。

一方、飲食店でもコンビニでも、フランチャイズ方式(FC方式)という、出店ペースの早い方式が主流で、こうした業界においては鉄板の拡張方式です。

一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会のホームページを参照しますと、フランチャイズ方式(FC方式)のメリットとして、

メリット
1 一般に広く知られているチェーン名やマーク、イメージを利用できる
2 事業経験がなくても、本部の指導によって事業を開始できる。
3 フランチャイズ本部が過去に蓄積した実績と経験に基づき事業を行なうので、個人で開業する場合と比較して成功する確率が高い。
4 フランチャイズ本部による経営指導(税務・会計・法律など)や援助(新商品開発、仕入れ確保、販売促進、教育など)が受けられ、営業に専念できる。
5 独立した事業者として営業できる。
6 本部が大量に仕入れ、また生産した質の高い商品や材料を安価で安定して購入できる。
7 開業物件の立地調査を本部に依頼できる。
8 広告・宣伝など、フランチャイズチェーンならではのスケールを生かした販売促進活動に参加できる。

とある一方、デメリットとして、

デメリット
1 フランチャイザーの提供するフランチャイズパッケージのルールにより、チェーンの統一性が優先され、フランチャイジーは個人のアイデアを自由に生かすことが制限される。
2 店舗のイメージ、取り扱い商品やサービス、メニューなどすべて本部の経営方針に従わなくてはならない。
3 たとえば、勝手に指定以外の商品を販売したり、金額が安いという理由だけで、指定外の備品を使用することなどにも制約がある。
4 また、営業時間・休日なども厳守しなくはならない。
5 営業権の譲渡や、秘密保持義務などがある。
6 また、契約期間途中での事業終了には一定の条件がある。

とあります。

もちろん、これは、FC方式を推進する立場の組織における宣伝文句も入っているはずですので、メリットの方が多くなっておりますが、さて、スターバックスが日本に進出してくる際に、この鉄板の店舗展開方式であったFC方式を採用せずに、頑なに直営店方式にこだわったのは何故かを考えていきたいと思います。

それは、一見非合理な選択です。

なにしろ、用地の確保から店舗建設、資金の提供、人材の配置と派遣、教育から広告までを、一手にスターバックスの本部が自前で行うというのですから、ものすごい手間とコストと時間がかかります。

しかし、この一見非合理な選択を行う「理屈」や論理を、単に店舗展開のスピードを早めたい、ということに求めると非合理にうつるだけである、ということなのです。

理念なき企業経営は、流行るのも早いですが、廃れるのも一瞬であり、この事例は、2019年末のかの「いきなりビフテキ(覚えきれないので少し名称が違うかもしれません)」の不振と閉店ぶりを見れば、わかるのではないでしょうか。

これは、「競合が増えたから」「自店チェーン同士でのカニバリズム(同士討ち、同じチェーン店同士での客の取り合い)が激化した」といったもっともらしい理由で語られることも多いですが、セブンイレブンにせよ吉野家にせよマツキヨにせよ、そんなの当たり前の競争環境で、彼らは似た業態の競合がいくら増えようが、自店同士のカニバリズムをいくら起こそうが、一定の出店スピードを保って堂々と(2020年1月現在では)成長し続けています。

では、スターバックスの目指す経営理念は何なのでしょうか。

スターバックスは、確かにコーヒーを売る喫茶店という業態です。

確かに売り上げは、コーヒーおよびコーヒーっぽい飲み物やそれに付随する食べ物(糖質や脂分の多いものが多いのでそこが個人的には難点ですが。。高タンパクの納豆とか売ってくれればいいのに)の販売で上げています。

しかし、スターバックスにとっては、このコーヒーや食べ物というのは、あくまで、売り上げを立てる手段ということに過ぎず、いわばキャッシュポイントがそこにあるだけ、ここで企業の生命線である「売り上げ」を立てているのでありますが、本当にスターバックスが提供しているのはコーヒーだけではない、という企業理念があるのです。

スターバックスの経営理念に、「サードプレイス」という言葉があります。

これは、家、職場や学校、といったいつもの場所に代わる「第三の場所」という意味です。

再び、スターバックスコーヒーのホームページから、この部分を引用させていただきます。

「人々の心を豊かで活力あるものにするために—
ひとりのお客様、1杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」

それが私たち、スターバックスのミッションです。

1996年8月 東京 銀座に日本1号店をオープンしてから、スターバックスは我々のミッションを軸にお客様にとっての”The Only One”として愛されるために「Moments of Connection‐つながりの瞬間‐」を大切にしてきました。
1杯のコーヒーを通じて会話と笑顔が生まれ人と人とがつながる。お客様だけではなく、パートナー(従業員)、コミュニティ(地域社会)ともつながっていく瞬間。
スターバックスは、お客様一人ひとりと向き合う姿勢を大切に、お客様にとって特別な存在でありたいと願っています。

これからも、お客様のサードプレイスとしてより豊かで潤いのある時間を提供し、最高のスターバックス体験をお届けすると共に、コミュニティへポジティブな影響を与え、人間らしさを大切にしながら更なる挑戦を続けていきます。

この文章は、スターバックスの理念と経営方針を正しく伝えるために、練りに練って同社の幹部たちが考えて浸透させ続けているものに他なりません。

つまり、スターバックスは、家と職場(や学校)の往復の合間の第三の場所として自らを規定し、その場作りを行うコミュニティ企業ですよ、と言っているのです。

この店舗運営を、売り上げ至上主義のFC経営に任せることは難しい、というよりむしろ危険である、とスターバックスの本部が考えた結果、当時の外食専門家から酷評された直営店方式での店舗展開で行くと決めて、そうして1996年8月の銀座店を皮切りに、2020年1月現在で、日本全国に実に1500店舗もの「第三の場所」スターバックスを展開するに至ったというわけです。

そして、この1500店のうち、今では120店舗ほどは、「ライセンス方式」という、スターバックスの理念を完全に理解した外部(元従業員など)の協力者による店舗運営に切り替えている、すなわち、FC方式の「良い面」も取り入れ始めている、という柔軟性も兼ね備えているのです。

筆者は、理念を守りながら、その理念に賛同する外部の協力者の積極的な受け入れを行うことで、急速に店舗網を拡大しながらも、第三の場所としての位置付けを忘れない、このスターバックスの経営方式こそ、全てのサービス業の原点だと考えています。

単にコーヒーを買うだけなら、コンビニコーヒーの方が数分の一の安さだし、並ばなくてもいいわけです。

コンビニコーヒーの品質もどんどんよくなってきていますから、正直、筆者のような味音痴には違いなどよくわかりません。

しかしながら、身体を休める自宅、仕事や学習をあくまで効率的に進める職場や学校、に代わる第三の場所、何か前向きな新しいことが始まる期待が持てるサードプレイスを提供する、というスターバックスの精神は、おそらく人間社会が発展すればするほど、その必要性を増していくように思えてなりません。

であるからこそ、スターバックスは、他のコーヒーチェーンと一線を画して、競合他社の攻勢にも異業種からの参入も跳ね除けながら、堂々と歩んでいるのではないかと思います。

それでも、スターバックスが日本に来てからまだ25年程度です。

次の25年がどうなるかは、誰にもわかりません。

事業を続けていくということは非常に難しいことだと思わずにはいられません。

このブログも、2013年8月に始めてから7年目に入りました。

スターバックスの歩みに比べれば、些細な道ですが、筆者も、読者の寄り道の一つになればと思ってこれからも頑張ろうと思います。

こちらからは以上です。

(2020年1月4日 土曜日)

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▷次の記事は

(2017/06/11)第三の居場所としてコーヒーを提供しているスターバックスというお店

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