個人の見解であり関連する組織等とは関係ありません

(2013/11/26)事実上のローマ帝国皇帝カエサルについて(ローマ皇帝0代目零号機)

おはようございます。

2013年11月の記事です。

ところで、話は2,000年くらい飛びますが、ユリウス・カエサル(古ラテン語風日本語表記)については塩野七生著「ローマ人の物語」で詳細が語られていますが、西欧社会における「皇帝」という概念を確立した人物と言えます。

東方世界(主に中国)では秦の始皇帝がそれまでの諸国乱立した春秋戦後時代を統一し、「天下は一つ」を実現した人物で同じく「皇帝」と訳されますが、この二つは同じ絶対権力という面では共通ですが成立過程や概念は似て異なるものです。

カエサルが登場するのは共和制ローマ末期です。

この頃まで非常にゆっくりしたペースながらも着実に都市国家ローマは力を付け、並み居るライバル諸国であるカルタゴやギリシャエーゲ海の都市国家を凌いで領邦を拡大していきました。

征服した民族にも寛容で、適度にローマ市民権という権利を付与することで「同化」していき、イタリア半島を統一します。

しかし、これ以上版図を広げるには、文化も習慣も違う更に遠くの異民族とどう折り合っていくかがどうしても必要になってきたのです。

ガリア(今のフランス)を征服従属同化させた西のカエサルとエジプト・中東を制覇したポンペイウスとの戦いは、ローマが世界帝国に脱皮する際に起こります。

もはや、イタリア半島内の「閉じた」議論に汲々とする元老院(議会)での意思決定では、刻々と変わりゆく世界情勢に機敏に対応できないことが明らかになりつつありました。

例えて言うならば、かなり大きくなった企業の意思決定をすべて株主総会で行うといったようなことです。

数人で立ち上げたスタートアップ企業や家内事業であれば株主=経営者ですからそれで十分ですが、ある程度大きな会社組織を動かすには(ガバナンスといいます)、株主に選任された経営の専門家である取締役、それを構成員とする取締役会や監視役の監査役、そして何よりも取締役会を代表=会社を代表する代表取締役社長の意思決定に委任するという仕組みが不可欠です。

無論社長の権力の源泉は株主の広範な支持にあるのですが、個々の意思決定の場面でいちいち全株主の同意や承認を必要とするならば社業は遂行できません。

このように、国政を遂行する権力を権利者(ローマの場合はローマ市民とその代表たる元老院)の一定の合意のもとに個人に集中させていく仕組みづくりをカエサルは進めました。

1年という期限限定の独裁官の任期を終身とし、終身独裁官として事実上の最高権力者の地位に登ります。

それでも性急な「改革」に反発した元老院の共和派に暗殺されてしまいますが、この意を受けた養子のオクタヴィァヌスは元老院の信認のもと初代皇帝アウグストゥスとして即位するのです。


ですので、カエサルは初代皇帝の生みの親というべき、いわばエヴァンゲリオンにおける零号機のような位置付けで、実質0代皇帝と呼んでよい存在です。

そうして、その後「カエサル」という言葉は自身は皇帝になっていないにもかかわらず、西欧社会で皇帝を示す言葉となっていったのです。

ドイツのカイザー、ロシアのツァーリの語源は「カエサル」です。

そんな夜の皇帝、飲み屋の大統領を僭称している歴史好きの筆者からは以上です。

(2013年11月27日)

SNSでフォローする