中学生の税の作文(夏休みの課題)②

税と私と未来の日本

私の父親はIT企業の研究員ですが、コロナになってから家で働くようになりました。毎日世界中の生産拠点や研究所や工場の人とチャットやオンラインミーティングで話をしながら、今はスマートフォンにたくさん付いている小さなカメラを作っているそうです。私達の生活を豊かにしている、こうしたオンラインで情報のやり取りが瞬時にできる、そんな便利なものが作られるようになったのも、日本の技術者たちが一生懸命勉強して、そして企業や大学で研究成果を求めて努力して、世界に通用する製品を生み出しているおかげだと話してくれました。すごいなあと思いながら私も同じ部屋で勉強したりしています。父親は、日本の小さな都市に生まれて、県立高校や国立大学の工学部、そして国立大学の大学院に進んで研究者になりましたが、育った家庭の経済状況がたとえ厳しくても、日本ではきちんと努力さえすれば大学院まで進んで研究者として企業でも研究機関でも勤めることができると教えてくれました。そのような技術、たとえば父親は電子工学の分野ですが、それに向かった夢があり継続する努力できる姿勢があれば、勉強を続けて世のため人のために働くことができるのです。日本はそのように教育に関してきちんとお金を出してくれる国だと教わりました。海外の有名な大学、米国のハーバード大学ならば年間1,000万円、英国のオックスフォード大学ならば年間800万円くらいが学費だけでかかる世界の常識にあって、たとえば日本の京都大学ならば年間70万円で行くことができます。これは、日本では、主に日本で一生懸命働いて収入を得ている個人や法人から、各種の形で税金や社会保険料をいただき、その中で小中高校、そして大学の学費が出ているからだと聞きました。私は今義務教育最後の中学3年生です。高校に進学しようとして受験勉強に精を出しています。コロナ下で父親や母親が働いている姿を身近に見ることができて、そして父母が働いて稼いだ中で納入している税金が、私達の教育資金として使われているということを知ると、勉強がはかどらないとかうまくいかないとか、投げ出してしまいたいとか、そういうよこしまな気持ちが少しだけ和らぐような気がします。日本の税金は、教育だけではなくて様々な社会や国民の役に立つことに使われていますが、私も18歳になって成人になった暁には、選挙で投票して、できるだけ、みなから集めた税金が正しく使われるようになるように、気をつけていきたいと思います。税金の原資もなく、自らは1円も稼がないのに、何でもばらまいてよこせと政府や地方公共団体や公務員に権利を主張するように見えて実は文句だけをいうような、そのようなさもしいふるまいをしないように、きちんと勉強したいです。自分のことは自分でできるようになって、そしてこれから生まれてくる世代に対して胸を張って自らのやっていることを誇れるように、これからも頑張っていきたいと思います。

前作を再掲

一番税というものを身近に感じて、そのイメージを自分なりにつかんだのは、昔からやっていて、お父さんやお母さんも読んでいた週刊少年ジャンプという少年少女漫画雑誌の看板漫画で、40年の連載が続いた伝説の「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の中で、税のしくみをテーマとして扱った回があったのをお父さんに読ませてもらった時です。その話では、大きな川の向こうとこちら側に集落があって、向こうの特産品とこちらの特産品を受け渡すのにいちいち船を使うより、丈夫な橋を架けて往来を増やしたほうがはるかに取引や貿易が増えていいことだけれども、そのような橋建設に多額なお金を一個人が出すことは難しいから、税という仕組みで平等に2つの集落のみんなに少しずつ負担してもらい、お金を拠出してもらって、そのお金を元手にして、橋がかけられました、というような話で税務署の人が非常に簡単に説明されていました。もともとお笑い漫画なので、その後のストーリーはお決まりのハチャメチャなものになるのですが、税というものは、みんなの暮らしを豊かにするために、私たちが安心して暮らしていくために必要で、通常の取引や経済社会では整備するのが難しい公的インフラやサービスを提供する仕組みであることがわかりました。
しかしながら、今の日本においては、少子高齢化が進み、年間100兆円にも膨れ上がった歳出に比べ、税収を中心とする歳入はその半分にも満たない水準です。その穴埋めに、年間50兆円以上の国債を中心とした借金が積みあがっていて、その借金の総額は、お父さんに聞くとすでに1,000兆円を超えてしまったそうです。お小遣いが50円しかないのに、いつも100円以上使っているようなやり方では、いつか国家の財政は行き詰まってしまいます。これ以上税収を増やそうにも、すでに国民負担率は5割に迫っており、これは、たとえば戦国時代での重税の例として五公五民、小田原を居城として関東にその覇を唱えた後北条氏の善政の例として四公六民といった例を教えてもらったように、特に働く生産現役世代には非常にきつい負担になってきています。歴史の勉強で学びましたが、第一次世界大戦終結後のドイツでは、1マルクの価値が暴落して1兆分の1になったそうです。このようなことが将来の日本に起こらないように、私たちがもう少し大きくなって選挙権を得たときには、なんでもばらまいて投票してくれと叫ぶ候補や政府は黙って現金を配れなどと叫ぶ議員などの言葉に惑わされないように、賢い選択をしたいと思います。そのために、義務教育として使われている税のありがたみを感じ、残り少ない義務教育の期間を、一生懸命勉強したり運動したり、身体と精神を鍛えることに使っていきたいと思います。私も将来、大きな橋を架ける一助となりたいです。
以上