旧軍港
旧軍港市転換法(正式名称:旧軍港市転換法、昭和25年法律第220号)は、1950(昭和25)年に制定された日本の法律です。
太平洋戦争の終戦まで日本海軍の拠点(軍港)だった横須賀、呉、佐世保、舞鶴の4都市を、平和的な産業港湾都市へと生まれ変わらせることを目的に作られました。
主な内容と目的
戦後、大規模な海軍基地や工廠(こうしょう:軍の工場)があったこれらの都市は、軍の解体によって主軸となる産業を完全に失い、深刻な失業問題や経済の停滞に直面していました。この状況を打破するために制定されたのがこの法律です。
- 旧軍施設の平和利用
それまで国(旧軍)が所有していた広大な土地やドック、工場などの施設を、地元自治体に譲渡または格安で貸し付けできるようにしました。これにより、民間の造船所や造船業、その他の平和産業を誘致し、都市の復興を進めました。 - 国の財政支援
4つの都市が平和産業都市・文化都市として発展できるよう、国が特別な財政援助や工事の補助などを行うことが定められました。
日本初の「住民投票」による特別法
この法律の最も大きな特徴は、日本国憲法第95条に基づく「地方自治法特別法」として、初めて制定された点です。
憲法第95条には「一つの地方公共団体にのみ適用される特別法は、住民投票で過半数の同意を得なければ制定できない」という規定があります。旧軍港市転換法は、特定の4都市だけに適用される法律だったため、それぞれの都市で住民投票が実施されました。結果、すべての都市で圧倒的な多数の賛成(いずれも80%〜90%以上の賛成票)を得て成立しました。
現在の状況
法律の制定から70年以上が経過した現在でも、この法律は有効です。4都市は現在でも「旧軍港市振興協議会」を組織し、旧軍施設のさらなる有効活用や、観光・産業振興に向けた国への要望活動などを共同で行っています。

