日本の大学は就活予備校

就職活動の集団面接風景

就職予備校と化していると言われる日本の大学学部の状況を就活産業の誘導という観点から考察してみました

おはようございます。

2020年1月の、日本の教育や大学については、個人的に一家言持っております45歳中年筆者からの記事をお送りいたします。

日本においての受験の白眉は、なぜか専門性としてはとば口に過ぎない、18歳到達後初めてやってくる3月31日を迎える年齢から入学することができる、「大学学部」への入学試験となっておりまして、その営みはほぼ50年間、変わらずにあったわけですが、世の中の動きも、日本を取り巻く世界国際環境も相当に変わりゆく中、日本の誇る官僚システムを生み出してきた「同学年輪切り偏差値序列システム(学部学科関係なし)」という仕組みでは、どうしても学生側も採用側も国際競争力がつかないことは自明になってきたように思います。

つまり、世界的には全く認知されていない、日本独自の競技である、たとえば箱根駅伝を22歳になるまでやらせて、20キロメートルのロードレースや山登り、さらには膝に負担の大きい山下りといった世界的に類のないレースに、数百人単位で優秀な学生層を取り組ませ、そうしてそのトップランナーに、大学卒業後改めて、マラソン競技やトラック競技で世界のトップに伍していくようにトレーニングを「変更」する、というようなトレーニングプログラムでは間に合わなくなってきているように、世界のトップに体格能力で劣るところが大きい日本人において、長距離でもう一度輝くには、小さい頃から42キロメートルのロードレースという距離に即した、目標タイムからの逆算を含めた長期的なトレーニングを積んでいかなければならないと考えているのです。

これと同じで、日本におけるあらゆる専門性教育において、白眉とすべきのは、大学院の修士課程や博士課程であり、そのレベルの学歴まで到達しなければ、学部卒のレベルではまだなんの専門性も身についておらず(身についていないとしか評価されず)、まともな専門性を生かした就職などできないのは自明の理だと思っています。

弁護士や公認会計士、税理士や弁理士、医者に看護師といった、資格を保有しているというのであれば別段(ちなみに筆者は旧司法試験に落ちています)、学部卒というレジャーランドに毛が生えた程度の学業成績しかない(専門課程はわずか2年間で、その前の「教養課程」2年間があります)学部卒の22歳程度の学生に対して、会社や企業が本気で求める専門性を求めるのは酷な話だと思います。

そして、その本気で求める専門性を、企業の採用担当者側も持ち得ていないのが、日本社会における新卒一括採用という、世界的に見れば全く意味のわからない制度が温存されている何よりの証左といえそうです。

この、誰をとっても本質的に同じ、という学部生の採用に関して、ではどこで差をつけるのかということについて迫ります。

一つは、大学自身の持つブランドでした。

しかしながら、大学自体も、入学人数の確保のため、各種の指定校推薦制度、傘下の中高一貫校からの内部進学組やAO入試といった、学生の身につけた専門性や潜在能力(学習研修により効果を期待できる)をはかりにくい状況になってきたことから、最近では、M社やN社といった就活産業会社大手が、しきりにエントリーシートによる採用選考の前捌きを推奨する、という状況になっておりました。

そうして、起こるべくして世間を揺るがす事件が起こります。

2019年の就職活動を揺るがした「リクナビ事件」というものです。

就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリア(東京・千代田)が、サイトに登録した就職活動中の学生の情報を無断で利用し「内定辞退率」をAI(人工知能)で予測し、さらに学生には無断で企業側に有料で提供していたことが2019年8月に発覚したのです。

この、リクルートキャリアという会社では、2018年以降、新卒での就職を希望する学生がサイト内でチェックした企業の閲覧履歴情報などを収集していました。

そして、自社にて勝手にその収集情報を活用し、AIを使ってその学生が内定辞退する確率を勝手に算出し、学生本人らに説明のないまま有償で30社以上にこの「内定辞退率(リクルートキャリア社算定)」を提供していたというのです。

このことを重くみた、個人のプライバシー情報を勝手にコンテンツ化して転売して利益をあげた同社に対して、政府の個人情報保護委員会は2019年12月、サービスを利用した企業側(購入側)にも行政指導を行いました。

そして、その中にはトヨタ自動車や三菱商事などの日本の老舗大手企業も並んでいたというのです。

どの企業もこぞって内定辞退率を欲しがるのはより確実かつ効率的に、有能な人材を確保したい(と会社の上層部に報告したい)と考えているからでありましょうが、もともと、新卒の1学年だけの学部卒、しかもほとんどが日本人、という薄いパイ生地のような採用候補プールから優秀な人材を選べといっても、それはものすごく難しいことだと思うのです。

個人個人で、専門性も、英語の能力も、プログラミングのスキルも、対人関係営業スキルも何もかも違うのに、どうやって、「優秀な学生」というのを定義するのか実は甚だ疑問です。

だったら、とにかく内定辞退をしない学生を確保しておく、あとはその学生のコネと毛並みとおべんちゃら(採用面接の時の態度)で決めてしまおうと考えてしまうのは、致し方ないことなのかなと思っています。

採用コストは、かような採用側の忖度により、どんどん高騰し、こうしたR社やN社といった、就活産業に外注するコストもますます高くなってきています。

リクナビとかマイナビとか、別に大したプラットフォームではなく、普通に大学院なりに進学し、修士や博士の資格を取って専門性を身につけ、その上で、英語コミュニケーション能力でTOEICレベルで850点くらい取っておけば、どの企業でも普通に中途で採用すると思うのですがいかがでしょうか。

日本の教育は、早い段階の学部入学時の「大学入試」および学部卒業時の「新卒採用」という2段階が異常に発達し過ぎていて、その道以外の道を全く指し示していないと思うので、筆者が進路指導をするときには、低コストで専門性を高められる高専から大学専門学部(3回生)への編入や、大学院大学への進学などを勧めています。

そうでなくても、大学学部卒ですぐ就職するのではなくて、もう少し自分の強みを見極めて修士なり博士なりの資格と能力を磨いて、そこから社会に打って出ても全く問題ないし、なんなら在学中に創業してしまえば良いと考えています。

就職活動とは、本来、現業についている人についても、いつも考えているべきことであり、これは人口減少に直面している日本、そしていずれその波がやってくる世界全体の共通の、人材資源の適正配置(社会における適切な「係」に必要かつその能力のある人が就きやすくするという意味)に資する取り組みだと思います。

こちらからの主張は以上です。

(2020年1月29日 水曜日)

(2019/04/25)就職するなら社会が必要としているけれどもみんなが嫌うような会社から誘われて行くべきという話です

おはようございます。 2019年4月も最終週の、筆者提供の文字通り平成最後のブログ配信記事です。 毎年、この頃になりますと、街には真新しいスーツを着たいわゆる就職活動…