質問主意書


衆議院

不動産特定共同事業法、特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法等に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  令和七年三月十三日

           提出者  緒  方  林  太  郎  

 衆議院議長 額賀福志郎 殿

   不動産特定共同事業法、特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法等に関する質問主意書

不動産特定共同事業法、特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法等の解釈及び運用について次のとおり質問する。

一 千葉県成田市小菅地区における不動産特定共同事業及び同事業に関連する土地の賃貸借に関し

1 令和六年二月二十七日の衆議院予算委員会第八分科会において、「騒特法に基づき買い入れた土地の賃借を希望する方に対しましては、初めて契約する場合には、法令違反の有無等コンプライアンスチェックの上、騒特法に基づく建築規制の対象となる学校や住宅等の用地に供するものでないことや、都市計画法に基づく開発許可など、必要となる行政機関による許認可を取得していることなどを確認の上、取締役会等による審議を経て、適正な対価での貸出しを行うこととしております。」との国土交通省航空局長の答弁がある。これを踏まえ、次のとおり質問する。なお、答弁に際しては政府の把握するところを答弁ありたい。

ア 成田国際空港株式会社が当該土地の賃借人から最初に賃借の契約を提案された経緯、契約日及び現時点まで受領済みの賃料総額について答弁ありたい。

イ ここで言う「都市計画法に基づく開発許可など、必要となる行政機関による許認可を取得していることなどを確認」とは、許認可の事実の確認か、それとも、許認可の適正性の確認までをも含むのか。

ウ そもそも、行政機関の許認可の際、土地所有者である成田国際空港株式会社の同意が要件となっているものがあり、成田国際空港株式会社は行政機関による許認可の審査の時点で本事業への同意を表明していたと言えるのではないか。

エ 令和七年二月二十七日の衆議院予算委員会第八分科会において、令和二年の借地契約の際、当該地区開発の資金調達計画が不動産特定共同事業によって行われることは承知していなかったとの成田国際空港株式会社社長の答弁がある。しかし、行政機関による許認可申請に際して提出された資金計画書を、成田国際空港株式会社として確認したとの答弁もある。そこに記された資金の調達先、金額等はどのようなものであったかを明らかにした上で、当該申請時点において未入金の外国資金等を含む計画であった場合、借地人の審査において、その実現可能性を成田国際空港株式会社はどのように確認したか。資金計画書の提出以後、令和二年の借地契約に至るまでの間に調達金額等の変更等が生じた場合は、再審査等の対応が適切に行われたか。

オ そもそも、賃借人のウェブサイト等を見れば、不動産特定共同事業を運営する者であることは容易に把握できる。また、前記の資金計画書等においても、成田国際空港株式会社として確認することができたはずであると考える。これらを踏まえれば、当該賃借人による資金調達が不動産特定共同事業によって行われることを承知していなかった旨の成田国際空港株式会社社長の答弁には無理があるのではないか。

カ 前記航空局長の答弁では「初めて契約する場合」とあるが、令和五年九月の契約更新時にも、航空局長答弁にあるチェック、確認を行ったとの理解で差し支えないか。行った場合、資金調達計画が不動産特定共同事業法によるものであることも含めたチェック、確認を行ったとの理解で差し支えないか。

キ 当該土地の賃借人のグループ会社は、平成二十四年及び二十五年に行政処分を受けている。それらの事情は令和二年に借地契約を締結する際、成田国際空港株式会社内で考慮されなかったのか。

ク 令和二年の借地契約及び令和五年の契約更新時、当該土地の造成終了後に行われる開発の実現可能性について、成田国際空港株式会社内でどのような資料を基に、どのような手続を経て判断したのか。

2 令和七年二月二十七日の衆議院予算委員会第八分科会において、「当該土地というのは傾斜林地でありますけれども、そこについて造成事業を目的とした賃貸借契約ということで、本来、何か建築物がその上に乗った場合の、そういう事業を目的とした賃貸借契約で通常想定される賃料、これに対して、当該造成事業の最中は利益を生んでいないということがあって、不動産鑑定士と相談をいたしまして、それにふさわしい適正な価格ということで決定をしているということでございます。」との成田国際空港株式会社社長の答弁がある。

ア 当該土地の賃借に関し、造成工事が継続する限りにおいては、賃料は造成事業を目的としたものに留まるということか。政府の把握するところを答弁ありたい。

イ 当該土地の賃借に関し、傾斜林地における造成事業を目的とする間は賃料が廉価に抑えられている。同日の衆議院予算委員会第八分科会における成田国際空港株式会社社長答弁によれば、当該土地の賃借人は、約十九万平米の土地を年額約千八百万円の賃料で賃借しており、単純計算すれば一平米当たり年額百円を下回っている。一方、その資金調達において、開発後に賃借人が独自に想定する高額の土地の価格を基礎とした商品販売をすることは、不動産特定共同事業法その他の関係法令上何ら問題はないのか。

3 昨年六月の不動産特定共同事業者二社に対する行政処分について、同日の衆議院予算委員会第八分科会において「今御質問の行政処分というのは、賃借人ではなくて、賃借人のグループ会社に対して与えられたものでございます。(以下略)」との成田国際空港株式会社社長の答弁がある。

ア 親子会社における支配関係等を考慮することなく、形式的な法人格の別をもって、行政処分の効果を限定的に捉えるのは適切ではないと思われる。本件は、法人格否認の法理の適用すら排除されない可能性があると考える。賃借人による関係法令への違反の判断においては、これらを踏まえ、親子会社における実質的な支配関係を基礎とした判断をすべきと考えるが、政府の見解如何。

イ いずれにせよ、行政処分に関わっている可能性のある賃借人ではなく、土地を貸与する成田国際空港株式会社側がこのような主張をすることは、同社が特殊法人であることを踏まえれば、適切ではないと思われるが、政府の見解如何。

4 現在の成田国際空港株式会社社長の任期はいつまでと政府は承知しているか。

5 国家賠償法における「公共団体」に、成田国際空港株式会社は含まれ得るか。

二 福岡県水巻町における不動産特定共同事業に関し

令和六年四月十七日の衆議院国土交通委員会において、福岡県北九州市及び水巻町におけるバナナの苗の生産、出荷については承知をしていないとの農林水産省農産局農産政策部長の答弁がある。しかし、福岡県遠賀郡水巻町頃末南二丁目十三番一号に所在する対象不動産における不動産特定共同事業の商品においては、「バナナを中心に年間百二十万本の苗が生産されており」との広告・募集が行われている。一方、同年二月二十七日の衆議院予算委員会第八分科会において、「不動産特定共同事業の対象となる不動産取引に実態がないという場合には、不動産の取引内容に関しまして、著しく事実に相違する広告や、又は著しく人を誤認させる広告を禁止する規制が不動産特定共同事業法にございまして、この規定に抵触するおそれがあるというふうに考えられます。また、同じく不動産特定共同事業法の中で契約の締結の勧誘に関する規制があり、そこでは、その契約に関する重要事項につきまして、故意に事実を告げなかったり、また、不実のことを告げることを禁止することになっております。この勧誘の規制に抵触するおそれも考えられるところでございます。」との国土交通省不動産・建設経済局長の答弁がある。

1 これらを踏まえ、当該事業に関する不動産特定共同事業法上の両答弁の整合性について答弁ありたい。

2 当該事業においては、土地・建物の所有者と不動産特定共同事業者が同一の者である。この点に関し、令和六年四月十七日の衆議院国土交通委員会において「利害関係人から保有している資産を購入をして対象不動産とするというような場合には、投資家に対しまして特段の注意喚起を促す必要があるという認識を申し上げさせていただいた上で、その契約などの際に、利害関係人との関係などの情報を丁寧に書類に記載した上で説明をする、こういう仕組みについて御答弁を申し上げました。この仕組みによりまして、利害関係人でない場合に比べますと、利害関係人との取引がある場合については投資家に対しまして手厚い情報提供がされているということでございまして、投資家の方でそういった開示される情報を適切に判断していただいて投資をしていただく必要があるというふうに思っております。」との不動産・建設経済局長の答弁がある。当該事業のようなケースにおいては、利害関係人取引に関して適切な情報提供がなされているとはいえず、投資家保護として不十分であると考えるが見解如何。

三 千葉県と福岡県の両事業に関し

令和六年二月二十七日の衆議院予算委員会第八分科会において、「商品間での資金移動につきましては、いわゆる不動産特定共同事業法におきましては、分別管理ということで、契約に係る財産につきましては、ほかの不動産特定共同事業契約に係ります財産とは分別して管理しなければならないという仕組みになってございます。」との不動産・建設経済局長の答弁がある。ここまでの指摘を踏まえ、千葉県成田市小菅地区、福岡県水巻町の両不動産特定共同事業における財産の分別管理のあり方を厳格にチェックすべきと考えるが見解如何。

右質問する。