国際ロータリーの会員基盤向上

国際ロータリーの1年度更新制の弊害は、最大公約数的にいえば「継続性の弱さ」である。

ロータリーでは会長、幹事、委員長、ガバナー等の主要役職が原則として1年単位で交代するため、年度ごとに方針、重点事業、人間関係、運営感覚が変わりやすい。これは多くの会員に役職経験を与えるという長所を持つ一方、組織運営上は、次のような弊害を生む。

第一に、中長期戦略が定着しにくい。会員増強、公共イメージ向上、青少年奉仕、国際奉仕、財団寄付などは、1年で成果が出るものではない。しかし年度制が強すぎると、「今年度の会長方針」「今年度のガバナー方針」が前面に出て、前年までの蓄積が途切れやすい。結果として、毎年スローガンは変わるが、実行内容は似たような事業の繰り返しになりやすい。

第二に、責任の所在が曖昧になりやすい。1年で役職者が交代するため、失敗した事業や未達成の課題について、誰が最後まで責任を持つのかが不明確になりやすい。特に会員減少、若手・女性会員の不足、クラブの高齢化、例会出席率低下などは、単年度の責任ではなく構造問題である。それにもかかわらず、年度が替わると問題意識もリセットされる危険がある。

第三に、対外的な信用形成に時間がかかる。行政、学校、企業、NPO、海外クラブ等との連携事業では、相手方から見れば、毎年担当者や方針が変わる団体に見える。これでは、長期的な共同事業や地域課題への継続的関与を設計しにくい。ロータリーの奉仕活動が単発イベントに寄りがちになる一因である。

これに対し、3年任期を採用する経営者団体では、組織運営に一定の継続性が生まれる。1年目に方針を立て、2年目に本格実行し、3年目に成果検証と次期体制への引継ぎを行うことができる。事業承継、地域経済政策、人材育成、行政提言など、時間を要するテーマに取り組むには、3年程度の任期の方が実務的である。

もっとも、ロータリーの1年制にも意味はある。特定の人物による長期支配を避け、多くの会員に奉仕とリーダーシップの機会を与える点では優れている。問題は、1年制そのものではなく、1年制を補完する仕組みが弱いことである。

したがって、改善策としては、クラブや地区に3年単位の中期計画を置き、その上で単年度会長・ガバナーが年度ごとの実行責任を負う形が望ましい。たとえば「会員増強3年計画」「女性会員比率向上3年計画」「公共イメージ向上3年計画」「地域奉仕重点事業3年計画」を定め、年度ごとの役職者はそれを断絶させずに引き継ぐべきである。

要するに、ロータリーの1年度更新制は、民主性と参加機会を確保する制度である反面、継続性、責任性、戦略性を損ないやすい。3年任期制の経営者団体と比べた場合、最大の課題は「人が替わっても組織の意思が続く仕組み」をどこまで作れるかにある。