ランチェスター戦略

【年商8億円】「やりたい仕事」ではなく「困っている人」から始めた会社は強い
昨日のYahoo!ニュースで、とても面白い記事を読みました。
福岡市に本社を置くアイランデクスという会社です。
社員24人の会社ですが、離島専門の引っ越しという独自のビジネスモデルを築き、年間約800件の引っ越し、車両輸送などを含めると年間約8000件を受注し、年商約8億円まで成長しています。
社長は38歳の池田和法さん。もともとはフリーのデザイナーで、引っ越し業界とはまったく無縁だったそうです。
きっかけは13年前、奄美大島出身の知人から「島へ帰りたいが、引っ越し代が高すぎて困っている」という相談を受けたことでした。
池田さんは、自ら引っ越し会社や船会社と交渉し、費用を下げることに成功します。
その体験をブログで紹介すると、同じ悩みを抱える人たちから問い合わせが相次ぎ、起業へとつながりました。
この記事を読んで、一番印象に残ったのは、池田さんは「こんな仕事がしたい」から会社を作ったのではなく、「困っている人を何とかしたい」というニーズから事業が生まれたことです。
起業を目指す人の多くは、自分のやりたいことから事業を考えます。
しかし、この会社はまったく逆でした。困っている人がいる。その問題を解決する方法を考える。
その結果として、ビジネスが生まれています。私は、この順番がとても大切だと思いました。
さらに感心したのは、あえて大手が参入しない市場を選んでいることです。
離島への引っ越しは、船の欠航や荷物の積み替えなどリスクが多く、大手にとっては効率の良い仕事ではありません。
だからこそ競争相手が少なく、価格競争にも巻き込まれにくい市場になります。
昔から、人がやりたがらない仕事は単価が高いと言われます。
危険を伴う仕事、手間がかかる仕事、専門性が必要な仕事には、それだけの価値があります。
この会社もまさにその考え方です。しかも、自社ですべてを抱え込んでいません。
社員24人のうち約8割は離島に住み、全国8つの島に事業所を設ける一方で、港湾事業者など地域のパートナーとも連携しながらネットワークを築いています。
固定費を抑えながら、全国400を超える有人離島の人口約8割をカバーする体制を作り上げました。
そして、私が最も共感したのが、「本土と本土の引っ越しはやらない」という社長の言葉です。
仕事を増やすのではなく、仕事を絞る。離島だけに特化する。これはまさにランチェスター戦略です。
強い相手と真正面から戦うのではなく、自分が一番になれる市場を選ぶ。その発想が、この会社の強みを生み出しているのだと思います。
もう一つ見逃せないのは、この事業には社会性があることです。
人口減少が進む離島への移住を支え、地域に貢献しているからこそ、西日本新聞に取り上げられ、Yahoo!ニュースにも掲載されました。
社会に役立つ仕事は、人が応援したくなります。ニュースになり、SNSで広がり、多くの人が紹介してくれる。
広告費をかける前に、社会が広告をしてくれる仕組みが生まれるのです。
この記事を読みながら改めて感じたのは、ビジネスは「何を売るか」ではなく、「誰のどんな困りごとを解決するか」から考えるほうが強いということです。
困っている人の声に耳を傾け、その解決策を仕組みに変え、競争しない市場で一番を目指す。
これこそが、長く選ばれ続けるビジネスの王道なのだと感じました。
