1964東京オリンピックの総料理長

総料理長の村上信夫さん
帝国ホテルの料理長を
26年間勤め重役になった
村上信夫さんという方がいます。
厨房から初めて
重役に、そして東京オリンピックの総料理長となった極め付けのお人です。
十代のときに
帝国ホテルの厨房に入ってから、最初の3年間、仕事が鍋磨きのみだったそうです。
一切、料理に触れることが許されませんでした。
何人もの少年が入っても
1年以内にほとんどの人が
辞めてしまったといいます。
その中で
村上さんだけは辞めなかったのです。
「日本一の鍋磨きになろう」と決意して
3年間鍋をピカピカに磨くことにしました。
自分のところに回ってくる鍋には
料理が残っていても、ソースの味がわからないように
洗剤などが入れられた状態で来るのだそうです。
それを全部、黙ってきれいに磨きました。
自分の顔が映るくらい
ピカピカに磨いたといいます。
そうして3、4カ月経ったところで
「今日の鍋磨きは誰だ」
と先輩が聞くようになったそうです。
「今日の鍋磨きはムラ(村上さんの愛称)です」
という答えが返ってくると
そのときだけは洗剤が入っていない状態で
鍋が回ってくるようになりました。
村上さんはそれを舐めて
隠し味を勉強するようになり
周りから認められる
立派な料理人になられたそうです。
今おかれている状況に
文句を言わず、淡々と、黙々とやっている人に
神様は微笑んでくれるんですね。
というお話でした。
みんなが村上さんになることができます。
あなたも、私も、そこで文句ばっかり言ってる、あの人も。
以上

