FIP転

FIP(フィードインプレミアム)転(またはFIP転換・FIP移行)とは、すでにFIT制度(固定価格買取制度)のもとで発電・売電を行っている既存の再生可能エネルギー発電所(主に太陽光発電など)を、国が定める期間の途中でFIP制度(市場連動型)へ切り替えることを指します。
近年、再エネを電力市場へ統合する政府の方針や、収益性の改善・リスク回避の手段として、発電事業者の間で非常に注目を集めている動きです。

FIP転が行われる主な背景とメリット

これまでFIT制度では「発電さえすれば、いつでも固定価格で全量買い取ってもらえる」という安定した運用が可能でした。しかし、以下のような環境変化に伴い、FIP転を選ぶ(あるいは迫られる)ケースが増えています。

1. 出力制御(抑制)リスクの回避・順位の変更

現在、太陽光などの導入拡大に伴い、供給過多による「出力制御」が全国的(特に九州電力管内など)に多発しています。
実は優先給電ルールの変更(2026年度から本格化)により、出力制御をかける順番が「FIP電源よりも、FIT電源の方が先(優先して抑制される)」となりました。そのため、FITのままでは売電収入が大きく削られるリスクが高まっており、FIPに転換することでその影響を緩和・回避する狙いがあります。

2. 蓄電池の併設による「売電の最適化」

FIP制度では、電力の卸市場価格(JEPX)に「プレミアム(補助額)」が上乗せされる仕組みです。
FIP転と同時に大型の蓄電池を後付け(併設)し、「市場価格が安い(または出力制御されている)昼間に電気を貯め、価格が高騰する夕方や夜間に放電して売る」という運用(アービトラージ)を行うことで、FIT時代を上回る収益を狙えるようになります。

3. FIT時の「買取単価」と「期間」は引き継がれる

FIP転をしても、プレミアムを計算するベースとなる「基準価格」にはFIT認定時の高い調達単価がそのまま適用されます。また、適用期間もFITの残存期間がそのまま引き継がれるため、これまでの権利を無駄にすることなく市場連動型へ移行できます。

FIP転に伴う主な課題・注意点

一方で、FIPに切り替えることは「発電して放置すればいい」というこれまでの運用からの脱却を意味し、以下の負担やリスクが生じます。

  • インバランスリスクの発生:
    事前に「これだけ発電します」という計画値を提出し、実際の発電量とズレが生じた場合にペナルティ(インバランス料金)を支払う義務が発生します。
  • 運用の複雑化とコスト:
    市場価格の予測や計画提出などの実務(需給管理)が必要になるため、自社で行うか、専門の「アグリゲーター」と呼ばれる事業者に運用を委託するコストがかかります。また、収益を最大化するための蓄電池などの初期投資も必要です。

まとめ

FIP転は、これまでの「守りの売電(固定)」から、蓄電池やアグリゲーション技術を活用して「市場の需給に合わせてかしこくコントロールする売電」へシフトし、収益性を向上させるための攻めの選択肢と言えます。