日本の左派政党…

時事ドットコムの2026議席予測

こちらの画像をご記憶の方もいらっしゃるかもしれません。

2026年衆議院選挙前に、時事通信が公表した議席シミュレーションです。公明党票が立憲民主党系候補に乗れば、多くの小選挙区で逆転し、政権交代も視野に入るという内容でした。実際、その後、立憲民主党と公明党は「中道改革連合」を結成し、この構想を現実のものにしようとしました。

しかし、結果はシミュレーションどおりにはなりませんでした。中道改革連合は大きく議席を減らし、期待されたような「票の足し算」は実現しなかったのです。高市政権への期待など複数の要因が指摘されていますが、支持者の離反によって、政党同士がまとまっても支持者まではまとまらなかったことも、その一因として論じられています。

では、なぜ政党同士が妥協しても、支持者はついてこなかったのでしょうか。

日本の左派政党(あるいは野党陣営)が一致団結して多数派を形成できない理由は、単なる感情論ではありません。私は、「部分的な妥協をしてでも実利を得る」という政治本来のリアリズムが、支持層や周辺から受け入れられにくい構造があることも一因ではないかと考えています。

象徴的な事例が、2026年7月に成立した「国旗損壊処罰法」を巡る、自民党の赤松健議員や山田太郎議員に対する、一部の左派・リベラル系アカウントからの激しい批判です。

赤松議員は漫画家出身という立場から、法案そのものには慎重な姿勢を示しつつも、「成立を止められないのであれば、少しでも被害を減らす」という方針を明確に掲げました。

実際に、自民党内で法案の修正に取り組み、アニメ・漫画・ゲーム・生成AI等による創作物は対象外であることを骨子案や国会答弁で明確化させるなど、創作活動への萎縮を防ぐための修正を実現しています。

これは、廃案という100点満点の結果が現実的に望めない状況において、50点あるいは60点でも成果を確保しようとする、典型的な政治的リアリズムと言えるでしょう。

ところが、SNSでは一部から「詐欺師」「裏切り者」といった激しい批判が浴びせられました。「表現の自由を切り売りした」という理屈です。

ここで興味深いのは、こうした批判を行っている人々の多くは、そもそも自民党の議員である赤松議員や山田太郎議員を支持・投票していた層ではないと考えられることです。

つまり、自らは投票していない他党の議員に対しても、自分たちの理想とする100%の純粋性を求め、それに応じなければ「裏切り者」と断じている構図が見られます。

もちろん、SNS上の一部の反応だけをもって左派全体を論じることはできません。しかし、このような「妥協そのものを否定する」空気が一定程度存在することは、政治家にとって現実的な交渉や修正を行う心理的・政治的コストを高める要因にはなり得ます。

そして、この構造は左派政党同士の合同や選挙協力にも影響します。

政権交代を目指す以上、安全保障、エネルギー政策、経済政策などで相互に譲歩する場面は避けられません。しかし、妥協を「裏切り」と評価する支持層や、党外からの強い批判が存在するならば、政治家は現実的な合意形成よりも理念の純粋性を優先せざるを得なくなります。

結果として、合同や再編は進まず、それぞれが独自路線を維持する方向へ向かいやすくなります。

赤松議員の事例が示しているのは、「妥協は敗北ではなく、現実の中で成果を最大化するための政治技術」であるということです。

しかし、その妥協自体が「裏切り」と受け止められる環境では、現実的な多数派形成は難しくなります。

私は、日本の左派政党が一致団結しにくい理由の一つは、この妥協を評価しにくい政治文化にもあるのではないかと考えています。