つまらない時代だ

週末も仕事や

ゴルフバッグとGDP。

昔、日本の車のトランクには設計思想があった。
ゴルフバッグ4本。

社長、得意先、部長、課長。
四人でゴルフ場へ行くからである。

今の若者はスポーツだと思っているが違う。
あれは土日の営業会議だ。
今なら土日も上司や得意先とゴルフばっかしてたら、帰宅したら妻子は去っているかも知れない。

でも、当時はそれは出世する人、出世した人の象徴だったので嬉々として出かける人が多かった。

フェアウェイで商談をし、クラブハウスで契約をまとめ、最後は風呂に入る。社長も新人も同じ湯船。
そのあとは皆んなで飲みに行って今日のスコアとプレイを振り返る。

これが日本式「裸の意思決定プロセス」である。

つまり日本人は、週5日会社で働き、週末は芝生の上で働いていた。
高度経済成長は、だいたいそこで決まっていた。

まあ早朝からずっと丸1日一緒に居て、一緒にスポーツして風呂まで入って酒も飲めば仲良くならん方がどうかしている。

一緒にスポーツすれば相手の性格も見えるし、何と言ってもゴルフは高齢者も若者も一緒にプレイできる。「会長」さんや「相談役」から新入社員まで丸一日一緒にできて、しかも裸になって風呂まで一緒に入る。

「いや〜、会長とても70代とは思えない若い身体っすね〜!」
「いやいや、若いもんの体力には敵わんよ。ハッハッハ」

これほど合理的な親睦手段もなかったのだろう。

リモート会議で取引先とやり取りして「では、またオンラインで」。
二言目には「ワークライフバランス」。
人生で一番大事なのは「コスパ」。

実に合理的だが、そんなことを言い始めてから日本の成長は鈍化し、様々なことが停滞し始めたのもまた事実。
いーんだけどね。家族サービス最優先にするのは。

「亭主元気で留守が良い」
は、もう死語なのだ。
今は、
「亭主元気で留守番&子守りが良い」
である。

昭和の高度成長期の象徴だったゴルフ。
だから自動車メーカーも真剣だった。

エンジン性能?
燃費?
そんなものより重要なことがある。

ゴルフバッグ4本入るか。

それがなかったら、他がどんなに良くても選ばれなかった。
日本のGDPのかなりの部分はトランクの奥行き120センチの上に乗っていたと言ってもいい。

ところが今の車は違う。

トランクは浅い。
ゴルフバッグは入らない。

カタログを見るとこう書いてある。

キャンプ
アウトドア
車中泊

つまり自動車メーカーはこう判断した。

「日本人はもう週末に仕事しない」

ショールームでは時々今でも同じ光景がある。

中高年の男性がトランクを開けて聞く。

「これ、ゴルフバッグ入る?」

若い営業マンは答える。

「後席を倒せば斜めに入ります」

斜め。

今の日本経済を象徴する、実に正直な答えである。

実にくだらん。いつ仕事すんだよ。

俺は働くぞ〜。

人が動くから、働くっていうんや。

働くことは喜びだ!

働き方くらい、自分で決めさせろ!!

以上