世界の国々の、王国と共和国の違い(王か大統領か国家主席か)

プロイセン王国の国旗

おはようございます。

昔の記事の再掲というかリライトですが、世界の歴史に出てくる国々を、ざっくり大きく2つに分けてしまうということから始めて参りたい世界地理と世界史の「あいのこ」のような話をしたいと思います。

まず、連合王国で有名な通称イギリスと言われる国があります。イギリスといいますが正式名称は、「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」です。 グレートブリテン島に存在する、イングランド・ウェールズ・スコットランドと、そして隣のアイルランド島の北部の北アイルランドの4つの王国から形成されている国なので連合王国なのです。あの国は、4つの国の連合体なのです。ですので、ロンドンというのは、イングランドの主要都市であり、スコットランドの人や北アイルランド、ウェールズの人に、首都って感じでロンドンとか言わないほうがいいです。実際、筆者の英語の先生はスコットランドのエディンバラ出身でしたので、ロンドンとか毛嫌いしていました。あんなところ行かない、って感じです。当人は、福岡市の天神をぶらついてウェイウェイして、東京とかめっちゃ好きなのに、変な話です。

イギリスに戻ります。そして、イギリスは一般的に英語表記で、United Kingdom (UK)と表記されます。UK(イギリス、英連邦)は、実は世界史上最大版図ランキングで、かつては、あの大帝国モンゴル帝国を僅差でかわして堂々の第1位に輝く、文字通り日の沈まない帝国を形成したこともある国なのですが、連合王国という名前の通り、「王様(今はエリザベス女王、Queenですね)」がトップを務める国であります。

一方、アメリカ合衆国という国があります。

こちらは、事実上現代、世界の唯一の超大国、経済大国であり軍事大国であります。かつて地中海世界を制覇し、パックスロマーナ(ローマによる平和)と言われたローマ帝国にあやかって、パックスアメリカーナ(アメリカによる平和)という言葉があるくらい、現在の国際世界においてはアメリカの影響力抜きには語れません。圧倒的な軍事力と経済力、そして移民をバンバン受け入れ自由に経済活動を行うことができる法制度が備えられてあり、かつ人口は自然増社会増を続けてこの先少なくとも20年間は世界のGDPのトップに君臨し続けるであろうと言われています。

さてこんなアメリカ合衆国は、王様を持ちません。

もともと、イギリスの植民地であったアメリカ東海岸に展開していた「属州国」のような13個の共同体同士が、対等に連合(合衆)して、宗主国イギリス(UK)に対して、代表ないところに課税なし、とか叫んで(キレて)独立戦争をおっぱじめるわけです。

そうして成立したのがアメリカ合衆国ですので、国のトップの決め方も変わっています。王様アレルギーがあるのですね。もともとの13個の共同体は、それぞれがまさに「国」レベルの国家組織を持っておりまして、この国ごとに憲法や法律があり、軍隊だって持っています。この事実上の「国」たちが、実に50個にも膨れ上がった人工統治国家、それがアメリカ「合衆国」であり、この「衆」はむしろ「州」の意味の方が強いのですが、便宜上慣れ親しんだ「合衆国」の表記にせよ、「合州国」にせよ、この「州」は日本人が想起するような都道府県ではなくて、もともと「国」レベルに高度に独立していた、その国々が連合して、一つの合衆国という超絶強力な、そんな国を作り上げたと理解するのが正しいのです。

ですので、アメリカの州知事というのは、一国の首相レベルの権限を持っています。また上院議員も、「州」の代表で、たった2人(半分ずつ改選)しかいないので、とても権威が高いというわけです。だって、カルフォルニア州なんていう州は、そのへんの国よりも遥かに強い経済力と軍事力を持っているのです。人口だって突出しています。アメリカ大統領候補になりうるのは、この州知事(50人)か上院議員(100人)どちらかだとも言われてきましたのも、こうした背景からです。

そして、合衆国自体に「首相」がいないのも、これは、普通の国の大統領と首相の権限を大統領に一手に集中させないと、うるさい州ごとの州知事以下の権力の上に君臨することが難しいという事情もあるのです。州知事という名前が日本語的に適当ではないと思っています。中ボスクラスの大統領です。

ちなみに歴史上、大統領と首相を同一人物が兼ねることで、恐ろしい権力の化学反応が起こった事例があります。

無論、ワイマール憲法下のドイツでの、ヒンデンブルク大統領の死後、このヒンデンブルクに任命された首相のヒトラーが、大統領職も兼務し、総統(フューラー)という新しい呼び名で最高権力者となり、授権法という全ての国家運営権を議会がヒトラーに白紙委任するという「法律」を作ってその後議会を永久解散するという、ワイマール憲法下で作られた制度に乗っかったヒトラーによって、ワイマール体制そのものが墓場に沈められるという、まことに恐ろしいことが起こったわけですが、アメリカの大統領には、各州の州知事という強力な目付役(しかも50人)がいるので、そうした権力の分散とバランスが取られているというわけです。

アメリカ合衆国は、英語では、United States(US)といいます。

このStatesを、我々日本人は「州」と訳していますが、これは、先ほども申し上げましたように、「国」「共和国」といった方が近いと思います。決して、日本の都道府県知事と同格ではないのです。これでアメリカ合衆国のことを、USといったりUSA(United States of America)という意味がわかると思います。

もう一つ、UNというのがありまして、これは国際連合(United Nations)の略ですけど、本来の意味は、第二次世界大戦時の「連合軍」の語源と全く一緒です。もともとUNは戦争中の連合国協議によって生まれた国際機関であり、連合国諸国が原加盟国となっています。

特に中心となったアメリカ・イギリス・ソビエト連邦・フランス・中華民国は、国際連合憲章によって安全保障理事会における「常任理事国」の地位が与えられ、拒否権などの特権を有するなど、国際社会において強い影響を持つこととなりました。

我が日本も与した枢軸側は、「Axis Powers(枢軸国)」などと呼ばれ、UNより、とても語感として野蛮で好戦的な印象を与える操作がされています。

もともとAxisにはぶれない軸、といった意味しかなかったものが、この使われ方により、強固な思想的暴力的背景をもった特殊な国々の集団、といった意味に変容されたのです。

今回は、略称からみる君主国(王や天皇)と共和国(大統領)の違いから、連合王国を束ねる女王(イギリス連合王国)、「州」という共和国同士ををまとめる大統領(アメリカ)という国の運営方針の大きな違いをあぶりだしてみました。

UKとUSとUNと、3つ並べましたがこれで覚えてもらえたと思います。さて、UKの王朝を遥かに凌駕する2000年単位の単一王朝で続いている世界唯一の、王室ではなく皇室の国があります。そんな国に生きている同胞として、ぜひ世界にこのことを広く知らしめて上げてほしいです。

こちらからは以上です。