甘木のブックカフェ

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画像のお店は、福岡県朝倉市甘木にあるブックカフェ・コワーキング施設**「cuwano.Books Cafe Space(クワノドット)」**です(2022年12月22日オープン)。

老舗のエネルギー会社が畑違いの「書店・カフェ」を開業するに至った背景や経緯は以下の通りです。

1. 運営元:創業約100年の老舗ガス会社

この施設を運営しているのは、朝倉市に本社を置く株式会社桑野商会です。大正14年(1925年)に石炭販売として創業し、約1世紀にわたりLPガスや住設機器の販売を手がけてきた地元密着のエネルギー企業です。

2. きっかけ:コロナ禍の閉塞感と地域への危機感

桑野商会はかねてより「地域への貢献」を企業理念に掲げていました。しかし、コロナ禍によって人の流れが途絶え、かつて栄えた甘木の商店街や地域全体から活気が失われていく現状に、桑野社長は強い危機感を抱いていました。 「地域の事業所として、閉塞感を打ち破り、街に再び賑わいを取り戻す新しい挑戦ができないか」と模索していたことが発端です。

3. ロールモデル:東京・日暮里での出会い

大きな転機となったのは、社長が娘さんの大学受験に同行して上京した際、東京・日暮里にあるベーカリー&ブックカフェ「ひぐらしガーデン」を訪れたことでした。 そこでは老若男女、子どもからお年寄りまで幅広い世代が心地よさそうに集い、本を読んだりパンを食べたりして穏やかな時間を過ごしていました。その光景を目にした社長は、**「自分の街(朝倉・甘木)にも、こんな風に世代を超えて人が集い、笑顔になれる場所を作りたい」**と強く感銘を受け、ブックカフェの開業を決意しました。

4. 開業への道のり:ゼロからのノウハウ獲得と補助金活用

本業がガス会社であるため、書店やカフェの運営経験は社内に一切ありませんでした。そこで以下のステップを踏んで開業準備が進められました。

  • 専門人材の採用と名店での修行 古本屋での勤務経験を持つ石村氏を店長として迎え入れました。さらに新刊書店の仕入れや流通ノウハウを学ぶため、福岡市内で知られる独立系書店「ブックスキューブリック」で実地研修を受け、書店づくりの基礎を一から習得しました。
  • 公的支援(事業再構築補助金)の採択 朝倉商工会議所に相談を持ちかけ、中小企業診断士の支援を受けながら国の「事業再構築補助金」に申請。数十時間におよぶヒアリングを通じて「地域活性化への熱意」と事業計画を練り上げ、採択を勝ち取りました。

5. コンセプトと現在の姿

**「思い切り笑って休み休みいきましょう(Let's have a good laugh and take a rest.)」**をコンセプトに掲げ、甘木商店街の旧アーケード通り(福岡銀行甘木支店裏)にオープンしました。

  • 1階(ブック&カフェ) 絵本、雑誌、文芸書、実用書、コミックなどをカジュアルに揃えた「街の本屋さん」に、ランチや自家製ドリンクが楽しめるカフェを併設。入口近くには親しみやすさを生むロボット(Pepper)も配置されています。
  • 2階(コワーキング&コミュニティスペース) Wi-Fiや電源を完備したワークスペースのほか、読書会、習い事教室、ワークショップ、ビジネス交流会など、人と人が出会い繋がる地域の交流拠点として活用されています。

本業であるガス事業の顧客基盤(約1,000世帯へのチラシ配布など)を活かした地域密着の広報も功を奏し、オープン以降は「街に本屋と居場所ができて本当に嬉しい」と、住民の日常に溶け込むコミュニティカフェとして親しまれています。