メガソーラー無法地帯

宇久島メガソーラーのイメージ(公式ホームページより)
は写真の通りです。

島ごとメガソーラー

長崎県の宇久島で計画されている日本最大のメガソーラーが、2024年5月にも着工します。出力は48万kWで、総工費は2000億円。パネル数は152万枚で280ヘクタール。東京ディズニーランドの5倍以上の巨大な建築物が、県の建築確認なしで建設される。民主党政権が太陽光発電を建築基準法の適用除外にしたからです。

2012年度の買取価格40円で発電開始

当初はドイツ企業が土地を取得し、京セラと九電工とオリックスが事業主体となって2013年3月末に事業認可を取ったことになっているが、実はこのとき用地取得は終わっておらず、6801筆の「賃貸証明書」がかわされただけだった。交渉が難航したためドイツ企業とオリックスは撤退したが、残った企業が交渉を続け、2019年に賃貸契約が完了した。

電力会社と接続して発電開始するのは今年末の見込みだが、宇久島メガソーラーのFIT買取価格は2012年度の40円のままである。2017年に改正された再エネ特措法では、買取価格の決定は電力会社との接続契約の終わった後になったが、それ以前に事業認定を取った物件は例外とされたからだ。

FITの買取価格(資源エネルギー庁の資料)です。

民主党政権が駆け込みで出した「裏口認定」

これについて地元の組坂善昭氏が住民訴訟の準備を進めている。彼によると、経産省は2013年に用地買収も賃貸契約も終わっていなかったのに、見込みだけで裏口認定した疑いがあるという。

2012年度に経産省はこの事業認可にあたって「報告徴収」したことになっているが、組坂氏が経産省に報告徴収の情報公開請求をしたところ、経産省は「書類はすべて廃棄した」と回答した。これは報告徴収をしなかったためだと彼はみている。

発電所の事業認可は接続が終わってから行なうのが普通だが、2012年に再エネ特措法ができたとき、再エネ業者が「大手電力が接続契約を延ばしてサボタージュする」と主張し、民主党政権が「認定見込み」だけで買取価格を決め、発電開始の期限も決めなかった。

このため認定だけ取って野ざらしになっている物件がたくさんある。経産省はこのような状況に批判を受けて特措法を改正し、2019年9月までに工事計画書が受理される必要があった。この期限はぎりぎりでクリアしたが、実際には用地取得が終わっていなかった。

時系列表

建築確認も環境アセスも消防法の規制も何もなし

さらに問題なのは、このメガソーラーには建築確認も環境アセスメントもないことだ。民主党政権が「原発が止まって電力が不足しているので少しでも早く発電開始が必要だ」という理由で、建築基準法の適用除外の「電気工作物」とした結果である。そんなことをしなくても、原発を通常通り動かせばよかったのだ。

おかげで宇久島の面積の1割以上を占めるメガソーラーは、集中豪雨が起きたら土砂崩れを起こすおそれがある。2019年からメガソーラーには環境アセスメントが義務づけられたが、それ以前に認定された物件は(建設する前でも)適用除外とする抜け道ができた。住民の反対運動で業者は一部で「自主的に」アセスメントをやったが、住民は納得していない。

危険なのは山火事である。メガソーラーで火災が起こったとき放水すると感電するため、消防士が消火できない。建築基準法の適用除外なので消防法の対象にもならず、長崎県も規制できない。和歌山県すさみ町の山火事では自衛隊ヘリが出動したが、4日間燃え続けて15ヘクタールが焼けた。宇久島の280ヘクタールのメガソーラーが燃えたら、大惨事になるだろう。

「太陽光転がし」の利益は電力利用者の負担

このように民主党政権が政権末期に駆け込み的に決めた抜け道だらけの規制とバカ高い買取価格に安倍政権も手をつけなかったため、再エネは無法地帯となり、認定だけ取って発電できない積み残し物件が大量に発生した。

これを安く買い取り、反社を使って借地人を追い出して高く転売するビジネスが横行した。これが三浦瑠麗氏の夫が詐欺容疑で逮捕された太陽光転がしである。彼らの利益は、すべて電力利用者が再エネ賦課金として負担することになります。

以上