川崎医科大学
川崎医科大学は、岡山医科大学(現・岡山大学医学部)出身の外科医・**川﨑祐宣(すけのぶ)**によって、1970年(昭和45年)に設立された私立医科大学です。
戦後約20年間にわたり凍結されていた医学部新設が再開された最初の年に開学した「新設医科大学」の先駆けであり、個人医院から一代で医科大学・巨大医療グループ(川崎学園)へと発展させた極めて特徴的な成り立ちを持っています。
1. 個人診療所から医療・福祉の拠点へ
- 川崎病院の開業(1939年): 川﨑祐宣は岡山市内に「外科川崎病院」を開業。戦災による全焼を経て再建し、昼夜を問わぬ地域医療を展開しました。
- 医療と福祉の融合: 生活困窮者や障害者医療の現場に直面したことから、私財を投じて財団法人川崎病院(1950年)や、障害児・者医療福祉施設である社会福祉法人「旭川荘」(1957年)を設立。「医療に裏付けられた福祉」の実践を進めました。
2. 大学設立の動機と「良医育成」
- 当時の医学教育への危機感: 1960年代の大学病院は研究至上主義に偏りがちで、患者を全人的に診る臨床医の育成が軽視されているという強い問題意識を抱いていました。
- 臨床医育成のための単科医大構想: 「技術だけでなく、豊かな人間性と倫理観を備えた良き臨床医を自らの手で育てる」ことを目的に、1970年に川崎医科大学を開学しました。
3. 倉敷市松島への拠点建設と独自の一貫教育
- 広大なキャンパスの選定: 岡山市内の既存病院(現・総合医療センター)とは別に、広大な教育施設と新病院を確保するため、当時の都窪郡庄村松島(現・倉敷市松島)にメインキャンパスを造成しました。
- 日本唯一の直属附属高校: 大学開学と同時に**「川崎医科大学附属高等学校」**を開校。早期から医師としての適性と人間性を育てるため、全国で唯一の医科大学直属附属高校として設置され、卒業生の多くが同大学へ進学する独自のルートを確立しました。
4. 臨床重視の先駆的な取り組み
- 建学の理念: 「人間(ひと)をつくる・体をつくる・医学をきわめる」を掲げ、全寮制教育(1年次)などを通じた人格形成を重視。
- 日本の医学教育をリードした革新性:
- 総合診療科の日本初設置(1981年): 臓器別医療だけでなく患者全体を診る教育を推進。
- OSCE(客観的臨床能力試験)の導入(1992年): 現在全国の医学部で行われている実技試験の原型をいち早く自前で構築。
その後、川崎医療短期大学や日本初の「川崎医療福祉大学」(1991年)などを同一敷地内に開設し、医師単独ではなくコメディカルを含めた**「チーム医療・医療福祉の総合拠点(川崎学園)」**として現在に至ります。
