司法試験予備試験突破のための方法論

突破の方法論

写真はマスターズを制して生涯グランドスラムを獲得したマキロイ選手。

さて、なかなか司法試験予備試験を突破できない、多浪の人です。短答式試験を突破しても、鬼門の論文式試験が待っています。そして、論文段階になると、全く違う景色になります。以下は、年齢層別の論文合格率(短答合格者ベース)等をまとめたものです。  

年齢層短答
合格者数
論文
合格者数
論文合格率
(対短答合格)
19歳以下57.14%
20~24歳79928735.91%
25~29歳2425823.96%
30~34歳2614115.70%
35~39歳2342611.11%
40~44歳239177.11%
45~49歳245187.34%
50~54歳2302.60%
55~59歳2111.42%
60~64歳1460.68%
65~69歳911.09%
70~74歳290%
75~79歳120%
80歳以上0%

 短答では強かった高齢受験者が壊滅し、若手が圧倒的有利になっています。20代前半にとっては、「10人受ければ3~4人は受かる」試験です。それが、40代以降になると、「100人受けてようやく何人か受かる。」という感じになっています。若手優遇策は、予備試験の論文式試験でも用いられ、絶大な効果を発揮しているのです。法律の知識・理解だけで勝負させてしまうと、短答のように高齢受験者が有利になり、50代後半が最も受かりやすい試験になってしまう。「50代まで勉強を続けた者が一番受かりやすい試験」など、誰も受けたくないでしょう。だから、そのような年代層が受からないような出題、採点をする。具体的には、長文の事例問題を出題し、規範と事実、当てはめ重視の採点をするということです。規範も、判例の規範であれば無条件に高い点を付けるが、学説だとかなり説得的な理由を付していなければ点を付けない。若手は、とにかく判例の規範を覚えるので精一杯です。しかし、勉強が進んでくると、判例の立場の理論的な問題点を指摘する学者の見解まで理解してしまいます。「そうか判例は間違いだったのか。」と、悪い意味で目から鱗が落ちる。こうして、年配者は、「間違った」判例ではなく、「正しい」学説を書こうとします。この傾向を逆手に取れば、若手優遇効果のある採点ができるというわけです。この採点方法は、「理論と実務の架橋という理念からすれば、まず判例の立場を答案に示すことが求められる。」という建前論によって、正当化することができる点でも、優れています。このことを知った上で、正しく対策をしないと、知識・理解をどんなに深めても、合格することは極めて困難になります。一方で、正しく対策し、訓練すれば、高齢受験者でも、不利を克服できることがわかってきています。要するに、漫然と受験を繰り返すだけでは、計算上、40代以上の受験者は合格に100年以上かかっても不思議ではない合格に必要とされる知識・理解の程度は、19歳以下でも習得できるレベルになっているのが現状です。その程度の知識・理解を習得した後に合否を分けるのは、配点の高い規範と事実を重視した答案スタイルと、それを最後まで書き切る筆力です。意識して答案スタイルを変え、限られた時間で必要な文字数を書き切るだけの訓練をすることが必要です。

まとめます。

司法試験予備試験の合否を分けるのは、①配点の高い規範と事実を重視した答案スタイルと、②それを最後まで書き切る筆力です。この方向で、一度リセットして、若手に生まれ変わって合格を目指すことにします。

以上