耳あか

耳垢が湿っているか乾いているかは、16番染色体上にある「ABCC11」という単一の遺伝子のDNA配列によって完全に決定される。2006年に長崎大学の研究チームによって解明された。

メカニズム ABCC11遺伝子の特定の1箇所(538番目の塩基)が「G(グアニン)」であるか「A(アデニン)」であるかの違いで決まる。 ヒトは父親と母親から1つずつ遺伝子を受け継ぐ。 ・Gを1つでも持つ場合(GG型またはGA型):湿った耳垢(湿型)になる。G型が優性遺伝。 ・Aを2つ持つ場合(AA型):乾いた耳垢(乾型)になる。A型が劣性遺伝。

人類史と地域による分布の違い 本来、人類の祖先はすべて湿型(G型)であった。現在も哺乳類のほとんどや、欧米人・アフリカ人の9割以上は湿型である。 しかし、約2万から3万年前に東アジア(バイカル湖周辺)でDNAの突然変異が起き、乾型(A型)が誕生した。この変異遺伝子が広がったため、日本人を含む東アジア人の約70から80%は乾型となっている。

副次的な影響 ABCC11遺伝子は、耳の中だけでなくアポクリン汗腺からの分泌活動も制御している。そのため、湿型の遺伝子(G型)を持つ人はアポクリン汗腺の活動が活発であり、腋臭症(ワキガ)の体質を持ちやすいという明確な医学的相関がある。