顧客を選別せよ
令和8年(2026年)、更に起こった地震を受け、かつ復興需要の変化や資材費・人件費の高騰、深刻な職人不足が続く熊本の建設市場において、建設施工会社が採るべき経営方針の根幹は、安易な規模拡大を避け、健全な財務基盤と高い施工品質を維持することにあります。このような状況下で最も警戒すべきは、過度な受注競争に伴う安請け合いです。資材高騰や人手不足が常態化する中、採算や施工能力を無視した不当な安値での受注は、自社の資金繰りを圧迫し、経営の傾きを引き起こす最大の要因となります。また無理な工期での受注は、現場の安全管理を損ない、最終的には施工不良や事故という取り返しのつかない事態を招きかねません。
したがって、企業が生き残るためには、自社の強みや適正な施工能力を見極めたうえで、採算性の取れない仕事や不当な条件を提示する注文者を毅然と断る「顧客の厳選」が不可欠です。自社の技術や安全管理、施工品質に対して適正な対価を支払う姿勢を持つ注文者を見極め、選ばれる会社になると同時に、自ら仕事を選ぶ会社であり続けることが求められます。
一方で、自社の価値を認めてくれた注文者から引き受けた仕事に対しては、信義誠実の原則に基づき、どこまでも愚直かつ誠実に施工責任を全うしなければなりません。手抜きや隠蔽を一切排し、施工品質と安全を確保することはもちろん、予期せぬ不測の事態や工程の遅れが生じた場合でも、速やかに注文者へ状況を報告し、共に解決策を模索する丁寧な意思疎通が不可欠です。震災後の復興や社会基盤の整備において真に求められるのは、単に価格の安い業者ではなく、どのような局面でも信頼できる施工者です。信義に基づいた誠実な仕事を提供し続けることで、注文者や地域社会からの確固たる信頼を勝ち得ることができ、それは一過性の受注に留まらない継続的な注文や紹介、長期にわたる深い信頼関係の構築へとつながります。
顧客の厳選によって得られた適正な利益は、現場の作業環境の改善や協力業者への適正な支払い、業務の効率化に向けた設備投資へと還元することで、自社の強固な経営体質を作り上げることができます。2026年の熊本における建設施工会社の経営方針の核心は、無謀な安請け合いを排して自社の価値を守り、引き受けた現場で信義を尽くすことにあります。目先の量ではなく質の追求へと舵を切り、誠意と技術で注文者の信頼に応える姿勢こそが、激変する環境において自社を守り、地域の持続可能な発展に貢献する唯一無二の道筋です。
