借金棒引きに怒り心頭

クレディ・スイス、社債約170億ドル無価値化 債権者から怒りの声

3月20日17:00

[ロンドン/ニューヨーク 19日 ロイター] – クレディ・スイスは19日、UBSによる買収の一環としてスイス当局の指示の下、160億スイスフラン(172億4000万ドル)相当のAT1債(その他ティア1債)を無価値化すると発表し、債権者から怒りの声が上がった。

スイス金融市場監査局(FINMA)は、この決定がクレディ・スイスの資本増強につながると説明。民間投資家に痛みの分担を求めた格好だ。

FINMAのマーレン・アムスタッド局長は「大きすぎてつぶせない」金融機関の枠組みに沿って決めたと説明。

AT1債が無価値となる一方で、返済の優先順位が社債より下位となる株式の保有者は、UBSによる株式交換方式の買収で総額32億3000万ドルを受け取ることになる。

クレディ・スイスのAT1を保有するアクシオム・オルタナティブ・インベストメンツの調査責任者、ジェローム・ルグラス氏は「AT1所有者と株主の序列をどうして逆転できるのか理解できない」と批判した。

UBSのラルフ・ハマーズ最高経営責任者()はAT1債の無価値化について、クレディ・スイスが責任を問われないようFINMAが決定したと述べた。

当局の決定について投資家からは、他行がAT1債を発行しづらくなるとの指摘が聞かれた。