[00006]あるでワシには強い味方があるんやからな(肉欲棒太郎の言葉)

強い味方とは?

あるでワシには強い味方があるんやからな

それはだれでっか?

人やない、会社を潰して辛酸を舐めてきたゆう経験やがな(肉欲棒太郎)

唐突ですが、心に響く言葉です。

クソまで舐めた肉欲棒太郎、灰原達之とはまた別の味わいある「ナニワ金融道」主人公です。

合同会社鈴木商店の投資運用研修素材「ナニワ金融道」

さて今日は、投資運用業を標榜する当社の研修題材として、筆者が推奨する2つの表現作品を紹介しようと思います。「闇金ウシジマくん」シリーズは平成末期から令和にかけての金融リテラシーと経済とお金のしくみ、世の中のなりたちを学ぶ大変良い題材で筆者も、原作漫画からドラマ、映画に至るまで読破視聴して座右の銘にしておりますが、そもそも昭和生まれのおっさんにとっては、もともと「ナニワ金融道」という平成初期の貸金業(消費者金融業)漫画にさかのぼって語りたいところです。

1990年—-まさにバブル崩壊が翌年に控えていたこのタイミングに—-講談社の人気週刊漫画雑誌『モーニング』にて連載開始。

インパクト絶大な独特のタッチで描かれる、アクの強い登場人物や大阪を中心とした関西地区の街並み。そして何より、人間と金(借金)に関する因業深い世界を生々しく描き出すことで人気を博したのが、ご存じ『ナニワ金融道』(略称:ナニ金)です。

本作品のヒットは、共通した世界観をもつ『難波金融伝・ミナミの帝王』や『賭博黙示録カイジ』、そして『闇金ウシジマ君』といった後続諸作品が脚光を浴びる道を切り開いたといって過言ではなく、まさにエポック・メイキングな存在であり、日本漫画史に残る出来事であったと言っても過言ではないでしょう。

昭和の名著:ナニワ金融道

ナニワ金融道は、大阪の大蛇区を舞台に繰り広げられる貸金業者の資金回収劇を通じて、人の世の不条理とカネに翻弄される人間模様を描いた作品ですが、著者の青木雄二氏のなりかわりと思われる主人公の灰原達之ともうひとり、影の主人公と言って良い重要なキャラクターとして肉欲棒太郎という人物が出てきます。すごい名前でこれから肉欲棒太郎の名前を連呼して恐縮ですが、少々お付き合いください。みなさんのためになること、研修成果があがることを請け負います。

ロバート・キヨサキ著「金持ち父さん、貧乏父さん」より

肉欲棒太郎の周りには、私があの人の力になれるのならがんばらんとなと内助の功を発揮する奥さんや、忠誠心の厚い部下、川井学、それから、棒太郎に似てぜんぜん泣かない手のかからない子供、棒一郎がいます。働く人には4種類あるとは、名著「金持ち父さん」(ロバート・キヨサキ著)にあるとおり、E(従業員)、S(自営業者)である左側の世界より、B(ビジネスオーナー)やI(投資家)といった右側の世界に移行したほうが、より大きなリターンや報酬を安定して得られる可能性が高いと言われます。また、E(従業員)とB(ビジネスオーナー)とは、主に「人」「人の労働力」「雇用」という資源に着目した仕事の分野と言えますが、下半分のS(自営業者)とI(投資家)は、「人」「人の労働力」「雇用」とはまた別の違ったお金や資産、知的財産、ノウハウ、教育といった資源に着目して仕事を行う分野とも言えます。結果、I(投資家)という領域は、人間の労働力からは距離を置き、まさに資産やノウハウ、ネットワークやお金自体を働かせて利益を追うことができる体制が整っている状態ということになるのです。もちろん、個々人の人生の選択はいろいろですから、E(従業員)にも好ましい部分は多くあります。一番は、労働力を提供し、給与対価をもらうドライな関係ですので、ビジネスの最終責任を取らずに済みますし、何よりいつでもやめることができます。これは、他の領域に比して大きくアドバンテージのあるところです。また、全く元手(お金とか教育とかネットワークとか仲間とかカリスマ性とか)が必要なく始めることができるので、まずビジネス領域に入る人の殆どは、このE(従業員)領域から始めることになるでしょう。それで別段問題なく、そのまま一生を終わっても全く問題なく人それぞれなのですが、こういった簡単な4領域に仕事のやり方分野が分けられるというのは、知っておいて損はないと思っています。

主人公の灰原達之を上回る存在感の肉欲棒太郎

ナニワ金融道の肉欲棒太郎に話を戻します。肉欲棒太郎さんはいきなり若い頃からB(ビジネスオーナー)の領域で当てようと勝負します。地上げで叩き上げて巨額の利益を上げるべく、帝国金融にもお金を借り、ペンシルビルを建てそこに風俗テナントを誘致し急場をしのごうとします。そこを帝国金融の手練の金畑社長以下につけこまれ、学校や病院の近隣では風俗業はできないという横やりを入れられ、万事休すで夜逃げします。大阪で地上げに失敗してしまった肉欲棒太郎、夜逃げして辿りついたのが神戸です。そこで競馬のお馬さんの予想やさんの集金人で日当2万円で働きます。周囲から褒められているのを耳にして心の中で喜んでいるとメモ帳から1枚の紙が落ちるのです。

たったひとりしかない自分を たった一度しかない一生をほんとうに生かさなければ人間、生まれてきたかいがないじゃないか(1974年没の小説家、山本有三のことば)

これを見た棒太郎、あんな雑魚の先輩のホメ言葉に喜んで自分どないすんねんと奮起します。ここからが肉欲棒太郎の真骨頂です。その後、映画の期限が切れた前売り券を二足三文で買取り、映画配給会社に持っていき、客が来たと見せかけて協力者の映画館のオーナーと儲けを企むも人気のない映画に3000人分のお客の半券はありえないと配給会社の社員に怪しまれ2度とは使えずオシャカになってしまいます。また一発儲けることに失敗しました。家に帰り嫁さんに話すと、一ヶ所で一度に儲けようとしたからやろコツコツ小口で広くやったらあかんのか、と言われた肉欲棒太郎、お前ええこと言うな、頭はいいしええ女やなーと褒め、さらに西、広島にいくことを決意します。商売の基本は、広く浅く仕組みがバレないように分散し、他人には便利だと思ってもらうことが肝要です。神戸に帝国金融の灰原を呼び軍資金を借りようとするも高い金利を最初は提案する灰原、肉欲棒太郎の目を見て個人的に無利息で貸します。どうやら、作者の青木雄二は、肉欲棒太郎と灰原達之の2名に、自らの生き方の理想を委ねたのかもしれません。これは肉欲棒太郎をカタにはめて肉欲ビルを帝国金融(と灰原)で奪い取った灰原側の負い目もあるのもあるでしょうが、これは建前(言い訳)として、本当は肉欲棒太郎の真剣な目を信用して賭けてみたくなったからだと思います。

そしてたどり着いた広島について順調に映画館を見つけて基盤作りに励む某太郎に偶然、肉欲企画の元従業員の川井学と出会いひょんなことから航空券の回数券のバラ売りを思いつきます。金券ショップの新幹線の回数券、電車の回数券を買ってそれをバラ売りして定価より安くして儲けるやり方とまったく同じです。そうして、この薄く広い事業で再起をかけるべく、これまでお世話になった組事務所に出向き、一番偉くて怖そうな人に仁義を切って組抜けを申し出ます。やめたいやったら靴舐めてもらおかと言い靴を投出しそれをきれいに舐める棒太郎。次々舐める中、最後のヤンチャな人が外に出てわざわざ犬のクソをつけて来ます。それも見事飲み込む肉欲棒太郎、令和の今だったら出版停止で決して掲出できない描写でしょう。だから今の(規制だらけの)表現作品はダメなのです。

ついに、ヤクザの組親分も納得し、手切れ金(口止め料)として100万円をポンと餞別代りとして渡されます。

あらたに事業はじめるんやろ
屈辱にもいろいろ出会うやろ
どんな理不尽なことを言われても頭側下げ続けなあかんときもあるやろう
もう放り投げたろうかと思った時今日のことを思い出すんやで

ついに、肉欲棒太郎は、E(従業員)を抜け、ふたたびB(ビジネスオーナー)に返り咲くことができたのです。広島空港のそばにあるプレハブを月5000円で借りて肉欲チケットサービス社の本社事務所とし、トイレは川井が作った野外トイレで土が一杯になったら移動する簡易便所、ガスはプロパンガス、水道はポリタンクで風呂は毎日入らず銭湯を使う、そのまま妻子も呼び寄せ子供の基地のような掘っ建て小屋からのスタートですが、なんだか楽しそうです。このプレハブ小屋で肉欲棒太郎は川井に宣言します。

商売を決めるのは資本金の多寡とは違うんやで資本金をどれだけ回転させるかやで要はここ(頭)の問題や
ワシには強い味方があるんやからな
会社を潰して辛酸を舐めてきたゆう経験やがな

このあと試行錯誤、紆余曲折しながらも肉欲棒太郎は奥さん、川井の協力のもと、川井の高校のときの担任の先生に印刷機など借り格安航空券の販売を少しづつ軌道にのせていきます。奥さんがチラシをワープロで打ち、担任の先生が印刷機を貸してくれて出来上がったチラシを客に配ります。川井の担任の先生は印刷代もないような会社を最初からデッチ上げの株式会社とわかっていながら肉欲棒太郎に立派な会社を作ってくださいと応援します。これぞ教育だと思います。持たざる肉欲棒太郎が得たのは、根性だけではなく、人脈や世の中を正確に見抜く目や人の声を聞く耳、そして人の情けであったのでしょう。繰り返しますがナニワ金融道の灰原達之と肉欲棒太郎は作者の青木雄二自らの性格をキャラにしたのではないかと思っています。灰原も詰めが甘く金を自ら貸してしまったり保証人になってしまったり辛口なんですがどこか人に甘いです。会社を起こしてもうまくいかず困り果てた青木雄二が44歳にして、手を腱鞘炎にしながら夜通し描いたナニワの金融道。転職30回、色々な職業を渡り歩きデザイン会社を起こして潰して畳んだ人間が書いたマンガだけに細かな描写やキャラの言葉、行動はリアルそのものです。

やっぱりこの話を始めると、ナニワ金融道、しかも一登場人物の肉欲棒太郎のエピソードのみで終わってしまい、闇金ウシジマくんのところまでははるか遠くで到底たどり着きませんでしたので、続きの研修はまた今度にいたします。それでは今日も1日頑張っていきましょう。

(追伸)この記事で肉欲棒太郎、もしくは棒太郎の言葉は何回使われたでしょうか。答えは次週以降に。

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