北方領土問題は話し合いでは絶対に解決しない(2021/06/11)

カリーニングラード(旧ケーニヒスベルク(王の城))

君はカリーニングラードを知っているか

北方領土の問題を語る前に、ほとんどの日本人が知らない世界の現実というやつを話しておきます。とても基本的な事も知らない、知ろうとしない。学校でも教えないし学校の教諭も知りません。

ここでは学校で教えないので、「日本人なら小学生にも分かれよシリーズ」と題しまして、日本人なら誰もが知っておくべき(無論、筆者個人の奉ずる正義から来る「べき論」です)基本知識として、北方領土とその返還の困難さについてお話します。

北方領土は少なくとも話し合いでは絶対に返ってきません。まず、現実的な問題として、カリーニングラードという存在があるのです。

ロシアは世界一長い国境で隣国と隔てられています。冷戦の産物としてのポーランドとリトアニアの間にロシア領の飛び地であるカリーニングラード州を世界地図で見付けてください(上のグーグルマップ上、左上の薄い線で囲まれた地域です)。不凍港の欲しいロシアには戦略上、欠くことのできない土地です。バルチック艦隊の根拠地です。110年前は、大日本帝国の東郷平八郎提督率いる日本連合艦隊がロシア帝国のロジェントウェンスキー提督が率いたロシアバルチック艦隊を撃滅しましたが、今のバルチック艦隊は、戦略核兵器を搭載した巨大な原子力潜水艦を始めとした、世界最新鋭の艦艇と攻撃力を有する軍事的超要塞です。ちなみに、旧ソ連の指導者の名前を冠したカリーニングラードという名前よりも、それまでの伝統ある名前であるケーニヒスベルク(王の城)というドイツ語的名称の方が、よほど人口に膾炙(かいしゃ)しているでしょうから付記しておきます。

北方四島を仮に返還するということになると、カリーニングラードの返還問題が欧州諸国から吹き出します。ロシアにとっては欧州に向けて打ち込んだ楔であり、絶対に失いたくない土地です。つまり、北方四島の返還問題は日本だけの問題ではなく、相手国ロシア、さらにその周囲の欧州も巻き込んだ、絶対に負けられない戦い、パンドラの箱を開けてしまうというわけなのです。そのような複雑怪奇に絡み合う、国際情勢の中にわが日本も居るのだということをまず理解しましょう。話し合いとか誠意を見せろとか、そんな薄くてペラい感情論では何も動かないのです。

米国は日本のどこにでも軍事基地を作れる(日米地位協定)

日米安保条約の基本的な内容を、小中学生にはまず教えましょう。このことを知らない日本の大人たちよ、政府を批判している暇があったらこの日本がどうして独立国として、一定の世界の尊重を受けてここにあるのかを勉強するべきです。小中学生におかれましては、このことを、お父さんやお母さん、それからファッションや漫画アニメに動画コンテンツのことしか頭にない高校生や、あほな大学生にも教えてあげて下さい。

即ち日本国民全員が知っておくべきこととして、米国は日本のどこにでも軍事基地を作ることができるということです。沖縄からも東京からも米軍基地は無くなりません。それは、日本自体を守る抑止力として、必ず必要だと日本人自身が無意識のうちに思っているからです。太平洋戦争(正式名称は大東亜戦争)に負けたところで、明治維新から続いた日本の爆進は止まり、一気に領土は明治維新前に戻ってしまいました。さらに代わりに日本は米国の傘下に入ることになり、日米安保条約が締結され、それに基づいた日米地位協定において、アメリカは日本のどこにでも、太平洋地域の平和、ついでに日本を守るための抑止力として米軍基地を置けるというフリーハンドを得ているのです。

ロシアのプーチン大統領と領土交渉に挑んた安倍首相は、プーチンからこの日米地位協定のことを突っ込まれて絶句したようです。日本政府はこの、奴隷契約に等しい契約について公にしたがりません。日本政府がこの件で民意により(具体的には選挙結果で)突っ込まれるとマズいからです。そうなると日本政府はアメリカに敬遠され、結果抑止力を失い、ロシアや北朝鮮、そして背後に迫る中国に国土を奪われてしまいます。3000年にも及ぶ、日本列島の独立は、ここに終焉し、中華人民共和国日本省としての新しい一歩が始まるかもしれません。

北方領土が返還されるとしたら、間違いなくそこに米軍基地が作られるでしょう。北海道にすら無い米軍基地を、ロシアの喉元に作られる、ロシアの側の立場を想像してみるまでもなく、飲める話ではありません。

また、ロシアにとって北方四島の真ん中の線は、太平洋に出られる深い海峡です。ウラジオストクを発ったロシア潜水艦はここを通って太平洋に冬でも出撃出来ます。ロシアにとって北方領土は軍事戦略的に極めて重要なのです。戦争も無いのにそんなこと重要なの?って、そもそも戦争にならないように布石を打ち続けるというのが国際関係というやつです。国を守るという事は、そういう非常に緻密ななりわいの積み重ねなのです。

今度は中国が相手だ

そんな中、いま世界は以前のような米国とソ連、その後継国家を自称したロシアという2大対立から、米国と中国の対立へと構図が大きく変化しました。日本にとってロシアを相手にするより、中国を考える方が重要になってしまいました。

ロシアにとってお金が期待できない日本に甘い顔をする必要はありません。ゆえに北方四島を返還するメリットが、日ロ双方には現実的に見いだせないのです。お金も出せない。返還も無い。でもいたいけな(無知な)日本からでてくるのは国際政治ではどうにもならない感情論です。元々は日本の領土なのだから返せという理論です。そういう無茶な要求は「戦争に勝った国」にしか許されません。今でも、ロシアと日本には平和条約もないわけですから、本当に取り返したいならば、エジプトやイスラエルがやったように、有無を言わさず一発殴るしかありません。もちろん報復されますし、国際社会からの非難もありましょう。東京に核が落とされることを覚悟しなければなりません。でもそれが国家が本気になってやるということです。ただただ、負け犬の遠吠えは見苦しいものです。ロシアにとっての実利もなにもない妄想はやめるか、それでなくば、本気で取られたものは奪い返しにいく度胸と矜持が必要であると申し上げておきます。

以上、本当の歴史と国際認識を書きました。超基本的な事項です。日本の学校でこれを教えないのは、政府の意向です。怠慢ではなくて政府がわざとやっているのです。こういう大人の事情を、このことをキチンと踏まえて、何でも自分で調べて理解するクセを付けましょう。政府は嘘をつきます。国家権力を常に疑う姿勢を持つことが、自分と家族を自分の周りの地域を誇りを守ることになります。

私ですか?この列島を3000年以上守ってきたご先祖様の末裔として、生きている間に、日本国民として、堂々と択捉島単冠湾(えとろふとうひとかっぷわん)のほとりに立って、かの真珠湾攻撃に出撃した機動部隊や連合艦隊に思いを馳せることが、筆者の夢です。

お読みいただきましてありがとうございました。それでは失礼します。

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