栄光の「松下電器」の社名を捨てたダメな会社の話

松下電器グループ(1985年)中核会社は松下電器産業

パナソニックのリストラ

▼おはようございます。企業のイメージ戦略に関する(昭和後半生まれ45歳の)筆者があくまで個人的な意見を自らの発表の場で述べて配信しようとする独善的な記事です。昔、松下電器産業という大きな会社がありました。松下幸之助という、不正出の「経営の神様」と呼ばれた人が作り上げた日本の家電業界のみならず日本のお茶の間全体を牽引する、まさにスーパー企業でした。大阪生まれの大阪育ち、尋常小学校しか出ておらずにすぐに丁稚に出された松下幸之助さん、学歴がなかったこと、身体が弱かったこと、家が貧乏だったことを経営者として成功できた理由ととらえ、短所・欠点、できない理由にしてしまうようなことを、考え方、捉え方一つで変えていく、まさに生き方の天才でした。

▼いわく、身体が弱かったから、人の力を借りました。一人でなく、人の協力のもとでやってきました。無理をせずに長生きできた、学歴のなかったおかげで、聞く耳持てた、家が貧しく丁稚奉公だからこそ、人としての在り方を学びお金の大切さを学んだ。というのです。これが3つの財産だと答えるこの人の名前を冠した名前の松下電器産業、この名前こそが世界に通用するブランドだったはずなのです。家電製品の国内ブランドはナショナル、海外ブランドはパナソニック、という二つの商品ブランドを作り上げ、それとは別の上位概念としての企業グループとして、「松下電器グループ」を標榜し、松下電器産業を大親分に、松下電気工業、松下通信工業、松下電子部品、松下住設機器、松下産業機器、松下電池工業、松下電器貿易、松下冷機、九州松下電器、松下精工、松下寿電子工業、松下電送、などを傘下に有し、「技術で拓く世界の繁栄」を企業理念、旗印に掲げ、世界中に国内・海外510社を展開する、一大企業グループ(1985年当時)として君臨したのです。

松下電器の名前を捨てたアホな会社は次は大切な社員も捨てるというのか

▼かくいう筆者も、かつて小中高生での英語教材として親しんだ、「家出のドリッピー」シリーズの上級編、「追跡(The Chase)」の主人公は、日本の財閥グループ「松本インダストリー」の御曹司が数奇な冒険を経て成長するという物語なのですが、明らかに御曹司は松下電器グループをイメージしているのです。米国のトップ作者のシドニィ・シェルダンの書き下ろしという英語教材で、かつてブームになりました、このストーリーのプロットにもなった世界の松下電器グループ、大阪から世界を制覇したあのスティーブ・ジョブズも憧れた、「自由闊達にして愉快なる理想工場」ソニーに並ぶ日本の家電メーカーの面目躍如の存在だったのです。

▼しかしながら、この伝統ある松下電器の名を捨てて、創作英字名称「パナソニック」に社名を変更した(ナショナルではない)大手家電メーカーのその後の凋落ぶりは、残念を通り越して唖然とします。決算説明会を見ても、CFO(最高財務責任者)のつまらない話ばかりで、何も面白くありません。それは徹頭徹尾カネカネカネであり、言葉はフリーキャッシュフローだの減損回避だの事業売却による現金確保だの借入金圧縮だの財務格付維持だの難しい言葉だらけですが、要するに会社として社会に何を打ち出せるのか、そうして従業員の雇用を守って生きがいを作り出すかという視点がすっぽりさっくりないからでしょう。このたびも、のっけから50歳以上の社員の早期退職制度(キャリア支援制度という名の下の実質リストラ)、大規模な人員削減、構造改革費用という(特別損失)に計上するといった話ばかりの決算説明になりそうな勢いです。自ら会社が費用をかけて採用して育てた社員をまた費用をかけて辞めさせるそうです。一体何なのでしょうか。彼らが働いて儲けられる事業を見つけるのが先でしょうに。経営者には深夜労働もないのですからPPTの資料作りなどより、顧客を喜ばせ社員を豊かにする、売上や収益を確保する方策を考えてもらいたいものです。

▼また、手塩にかけた事業部門の売却によりキャッシュを確保するとのことです。 事業部門の切り売りは営業利益率5%の達成如何で決めるといったことらしいですが、いつの期間の利益率を尺度として用いるのでしょうか。 少し前まで液晶テレビで世界の先頭を走っていた家電メーカー「シャープ」の数年前の決算を見てみれば、これ以上ない利益率だったはずです。 失敗は、液晶テレビ工場の設備投資の切り上げ時を誤ったことであり、期間利益が少ないからではないのです。 事業の見直しに、今時点だけの成績を当てはめるのは大学入試の結果だけで人間のその後の活躍発展も切り落としてしまうことに似ています。

▼こんな説明は楽でしょうが、ますます事業転換をする機会が失われていきます。 日本経済を牽引してきた会社がこのような財務屋に牛耳られることになってしまったのは残念です。いつの世も、自らを変え続ける企業努力を続けることが大切なのでしょう。創業からの起業家精神や前垂れ精神がいつしか失われ、画一的なブランド構築が目立つようになってきました。 世界最大の単一スマホメーカーにもその兆候が見られますが、その先をずっと行っているのかもしれません。 アップルじゃなくてソニーや日本電気、日立製作所や東芝の製品をできれば買いたいと願う筆者からは以上です。。が、最後に、「あっかるーいナショナル、あっかるーいナショナル、みんな、うちじゅう、なーんでも、ナーショーナールー」という宣伝文句が、耳の音にこだまするくらい、テレビCMが流れていた、そんな昭和の時代を少年時代に過ごした筆者からの昭和時代の回想記事ついでに以下の話を。

会社より社長が目立つ会社は二流止まり

▼学生の頃のバイトは軒並み工事現場や販売売り場作りのショーケース搬入でした。工事現場や商業施設の搬入現場では朝10時と午後15時に休憩する文化があって、高い割合でジュースやコーヒーを上の人から買ってもらえます。領収書の出ない自動販売機で。そんな日に、責任者に大変ですねと言ったら、

「それ込みの給料だからよ〜」
「俺一人じゃ現場なんて回らんめ~」
「領収書切ったジュースじゃお前らも面白くないだろー?」

と古き良き言い草で、男気というか潔さというか、忘れがちだけどすごく大事なことを言ってもらったなと思い出します。テクノロジーがいくら進化しようとも、効率化の波が押し寄せようとも、根本にある大事な部分は変わっていないのではないかと思うのです。領収書をいそいそ切るのは、やるのもされるのも嫌なものです。領収書を切る時は、筆者なら部下や後輩にやってもらうようにしています。その方が、カードのポイントがついたりいろいろ役得もあるからですが、そもそも領収書を切り合いながら会社同士の付き合いをするのがもう古いと思っています。だまって給料にいれとけばいいと思います。

秒速で1億円稼ぐのはたいへん難しい

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