松井秀喜氏が大谷翔平選手に寄せたメッセージ

日本人最多31号のメジャー本塁打を放った記録を持つ松井秀喜氏が、「大谷選手は唯一無二の存在です」「とうとう日本人が長距離打者」とメッセージを寄せました。

大スターとはかくあるべき、というお手本のようなコメントですので、ここに全文を掲載します。

エンゼルスの大谷翔平投手(27)が4日(日本時間5日)、本拠地でのオリオールズ戦に「2番・DH」で出場し、3回に31号ソロを放って、ヤンキース時代の2004年に松井秀喜氏(47)=ヤンキースGM特別アドバイザー=がマークした日本選手シーズン最多本塁打記録に並んだ。同日、発表されたオールスター戦(13日・デンバー)のア・リーグ先発投手部門でも選ばれて、史上初の二刀流出場が決定。12日の本塁打競争にも出場する大谷に、松井氏がメッセージを送ったというものです。

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 大谷選手の驚異的なホームランのペースに、ただただ感嘆しております。彼が持っていた素質に加えて、バッティングへの探究心やトレーニングが、メジャーリーグ屈指の長距離打者に成長させたのではないかと思っております。

 私がヤンキースでプレーしていた時には、ジェイソン・ジオンビー選手やゲーリー・シェフィールド選手、アレックス・ロドリゲス選手らに囲まれていましたが、彼たちのパワーに圧倒され、私は『ここで長距離打者になるのは難しい』と感じていました。しかし、今の大谷選手は完全にそちら側の選手になっています。

 私にメジャーリーグにおいて長距離打者であってほしいと願っていた野球ファンの方々は、私のその姿を残念な気持ちで見られていたと思いますが、今の大谷選手を見て、とうとう日本人がメジャーリーグでも長距離打者となり、スッキリされているのではないでしょうか。

 また、彼はそれだけにとどまらず、素晴らしいピッチャーでもあります。野球の長い歴史の常識を変えた、唯一無二の存在です。これからますます、大谷選手を応援されるファンの方々や、彼のようになりたいと思う少年たちが増えると思います。

 今後もファンの方々や少年たちの夢を背負い、躍動される姿を、私も一野球ファンとして期待しております。

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素晴らしいコメントです。松井秀喜選手が現役時代、どれほどファンの声援に応えようとしたのか、努力を重ねたのかも伝わる秀逸の内容でした。その上で続くスターに素直に拍手を送る。誠実に野球に向かい合った人間だからこそできる祝辞におっさん筆者も感動しました。

また、マスコミの餌食になったりせず、お互い大人の対応に徹しているのも清々しいです。大谷選手が松井氏を「憧れの存在」と言い、松井氏が大谷選手を「唯一無二」と言う。どちらも敬意が感じられて、非常にすがすがしい気持ちになれる。どっちが上だとかああだこうだ言ってるおっさん筆者のような庶民のはるか上を行く人格者の二人、すばらしいの一言です。

名門ヤンキースでプレーし、半端ないプレッシャーの中で、打ち立てた31本のホームランも普通じゃできないことです。筆者はかつて東京ドームで阪神巨人戦を見たとき、最終回松井選手がぶちこんだサヨナラホームランを阪神側外野スタンドで目の当たりにしました。あの振り切り方、飛び込む打球も普通じゃなかったです。

それから、なんと言ってもワールドシリーズMVP。松井選手は今でも私にとってのスーパースターです。

松井秀喜選手と同学年のおっさん筆者からのコメントは以上です。