敵を討ちます

少年水戸光圀公の言葉
ご明答です。「戦場で父親が怪我をしたらどうするか」という問いに対する 水戸光圀(徳川光圀)幼少時の答えは、よく知られる逸話として残っています。
逸話の内容
光圀がまだ幼い頃、父・徳川頼房(徳川御三家・水戸藩の初代藩主)が息子たちを集め、次のように尋ねたとされます。
「もし戦場で父(頼房)が負傷したら、お前たちはどうするか。」
兄弟たちはそれぞれ答えました。
- 「父を背負って退却する」
- 「父を守って逃がす」
などの答えが多かったと伝えられます。
ところが、光圀(千代松)は 「敵を討ちます」 と即答しました。
評価と意味
- この答えは父・頼房を大いに喜ばせました。
なぜなら、武士にとって「主(父・藩主)を守る」というのは単なる肉体的保護ではなく、敵を退けることで安全を確保することが最も忠実な行動だとされたからです。 - 幼いながらも「表面的な孝行(背負う、逃げる)」ではなく、武士の本分=戦って守るという本質を直感していた、と評価されたのです。
「日本的人間」としての位置づけ
この答えには、日本的武士道の特徴がよく表れています。
- 忠孝一体:父を守ることと主君を守ることが重なっている。
- 精神的勇気の重視:自らの危険を顧みず敵に立ち向かう。
- 現実的な合理性:父を背負って逃げるよりも、敵を倒す方が結果的に安全を確保できる。
つまり、光圀は幼少時から「日本的な人間像=忠義・勇敢・合理性を兼ね備えた武士」の萌芽を示していたと言えます。
この逸話が収録されている具体的な史料(『常山紀談』や『水戸黄門伝記』など)を挙げ、史学的な信憑性の整理もできますが、このようなお話しは、「日本的人間」という本に良くまとまっておりますので、ご覧下さい。
敵を退けることで安全を確保することが最も忠実な行動。今の日本に最も通じる考えと思います。
以上

