修羅場でしか人は育たない

不安の正体

よく見かける相談がある。こんなやつだ。
「うちの会社、残業もないし人間関係も悪くない。でも不安なんです」
これ、ここ1〜2年で本当に増えた。

いわゆる「ゆるい職場」にいる20代後半〜30代前半の方からの相談。給料もそこそこ。上司も優しい。飲み会の強制もない。一見すると何の問題もない。

でも本人は焦っている。
なぜか。

「3年後、自分の名刺から会社名を消したとき、何が残るのか」が見えないから。

これは感覚の話ではない。リクルートワークス研究所の古屋星斗氏の調査によると、大手企業の新入社員の36.4%が自分の職場を「ゆるい」と感じている。そしてここが核心だが、「ゆるいと感じる」職場にいる新入社員の62.6%が「このまま働いていても成長できない」と回答している。さらに57.2%が「すぐにでも」「2〜3年で」辞めたいと答えている。

つまり、会社のことはゆるくて好きだが、キャリアが不安だから辞める。これが今の若手のリアルだ。

厚生労働省のデータでも裏付けられている。2021年卒の大卒新入社員の3年以内離職率は34.9%。注目すべきは、従業員1000人以上の大企業で28.2%と過去最高を記録したこと。

大手だから安泰、という時代はもう終わって久しい。東京商工会議所の調査では、Z世代の新入社員の約4割が入社段階から退職を想定しているという結果も出ている。

そしてここが重要なんだけど、今の日本は政策として残業削減と副業解禁を同時に進めている。厚労省の資料にも明確に記載がある。「希望者は原則として副業・兼業を行うことができる社会にする」と。

副業を希望する就業者は368万人。しかし副業を認めていない企業はいまだ85.3%。制度と現場にはまだ乖離がある。

ただ、やる気のある層はもう動いている。ランサーズの「フリーランス実態調査2024」によると、日本のフリーランス人口は1303万人、経済規模は20兆3200億円。10年前と比較してフリーランス人口は39.1%増、経済規模は38.8%増だ。30代で副業から始め、40代でフリーランスとして安定し、50代で定着するという流れが一般化しつつある。

国のメッセージはこうだ。「定時で帰れ。でも足りない分は自分で稼ぐ力をつけろ」と。会社に「育ててもらう」時代は終わった。会社を「使いながら」自分を育てる時代になった。いわば、プロボクサーが日銭とトレーニング代を稼ぐために、ラーメン屋でバイトをするのと同じ。

転職市場で評価されるのは「どこにいたか」ではなく「何ができるか」。もっと言えば、会社がなくても食っていける力があるかどうか。これが全て。

リクルートワークス研究所の別の調査では、副業や社外活動の経験がある人ほど自社への評価が高いという結果も出ている。外から自社を見ることで初めて、自分の会社の強みを再認識できる。ただし同時に、社外活動をしている人の転職率は、していない人より10%高い。つまり外を知った人間は、より良い選択肢を見つけてしまう。

私が見てきた中で、30代半ばで市場価値が高い人には共通点がある。20代のどこかで「あえて負荷のかかる環境」を選んでいる。それは転職かもしれないし、副業かもしれないし、週末の起業準備かもしれない。楽な道を避けたわけじゃない。成長できる場所を自分で作っただけ。

「ゆるい職場」が悪いんじゃない。ゆるさの中で何もしていない自分に気づけないことが一番怖い。
居心地のいい環境にいるなら、なおさら聞いてほしい。今の会社を辞めたとき、あなたに声をかける人はいるか。あなたに仕事を頼みたいという人はいるか。

答えに詰まったら、それが答えだと思う。​​​​​​​​​​​​​​​​

筆者という働く人を形づくった原点は、あの世紀のクソメガプロジェクト

三行みずほシステム統合プロジェクト

この大銀行3つのシステムを、既存のシステムを流用して二つの銀行に統合し直す(1日で)という、今考えると真冬の凍結高速道路を裸で横切れみたいなアホスキームで突っ込んで自爆していった…

あの修羅場を超えた先に、私という、心臓に毛の生えたような、ガンギマリのソルジャー労働者が、出来上がったというわけです。

令和の猫どもよ、あれを超えた者の見る景色を見るが良い。生き残った者の目を。震えて眠れなくなるぜ。

以上