事業を始めるときに読む話

これは中二病です。。

事業や仕事を始めるときのものの見方や振る舞い方をもっと深掘りする時間を持った方が良いのではないかという話です

おはようございます。

2019年12月のクリスマスに、事業や仕事を始めるときのものの見方や振る舞い方についての気づきがありましたので共有したいと思います。

さる起業家、かつて筆者と一緒にある事業や仕事で数年ご一緒した方と、久しぶりに会って話す機会がありました。

会って話す、と書かないと、今やオンラインでのミーティングも普通に行えますし、スラックやチャットワーク、チームズといったチャット機能で、まるでそこにいるかのような高速タイピングで「話す」ことも普通になってきている現在、「会って話す」とわざわざ書いて、お互いが貴重な時間を調整して、どこかのリアルな場所でその場限りの話をする、ということの有用性といいますか貴重性、希少性を振りまこうと考えております。

さて、久しぶりにあったその事業家は、もちろん仕事をしているのですが、現時点で、「これ」と決めた構想から具体化した動き、すなわち、組織化とか資金調達とかマーケティングなどはまだ着手していませんでした。

そして、「まだ」着手していない、のではなく、自分の心の奥から湧き出る「経営理念」を体現できる「事業構想」を心の底から求めている故に、簡単に決めてしまって踏み出す前に、あらゆる世の中の事象を貪欲に吸収しながら、具体的には、市場(マーケット)を、あらゆる手段で「見る」ことにしばらく徹する、と言ったのです。

まだ、着手していない、と書いてしまうと、何だまだ始めていないのか、といったどちらかといえばネガティブな印象を持たれてしまいますが、この方(女性か男性かもぼかした言い方で恐縮ですが、最近英語でも、「男女問わず単体の人」としての使い方での単数形のThey、という言葉が使われ始めています)によると、個人で腹落ちしていない中で、組織の一員として決まったミッションをうまくこなす、という振る舞いでは自分の真の力が出ない、本気で勝負しないと事業の世界では勝ち目は薄い、ということに「ようやく」気づいたということで、少なくともこれから2年は、自分の本業としては積極的に動かない(受託の仕事はしますが)、ということを決めた、ということでした。

居飛車戦法ですね、と答えたのですが、これは、筆者にとってもとても良い振り返りとなりました。

居飛車戦法は、流れゆく、変化するマーケットにおいて自らの位置を決めて動かないことにより、より深くそのマーケットや事業環境を「観る」ことができます。

いわば、漫画賭博黙示録「カイジ」における、動きすぎず広く状況を見渡すという、「見(ケン)」の状態です。

もう一つ漫画を紹介しておきますと、もう25年くらい前になりますか、「のぞき屋」という漫画が鮮烈デビューしたときの主人公は「見(ケン)」という同じ名前であり、幾多の事件を、その片眼(左目は義眼)で覗き、盗聴やピッキングなど、裏社会のあらゆる技術にも精通した私立探偵です。

副主人公は、イルカ並みの聴力を持つ「聴(チョウ)」という同じく探偵で、二人で数々の難事件を解決することになります。

「のぞき屋」「カイジ」とも、それぞれ映画化もされていますので、ご興味のある方見直してみてください。

さて、コンテンツ系の業界にいた者同士ということで、ひととおり漫画になぞらえて話しましたが、「(決めて)動かない」というのは非常に勇気がいるものです。

何もやっていないんじゃないか、という外の声が怖いからです。

何かをやっていないと落ち着かない、むしろ何もやってないと指弾されるのが恐ろしいということなのですが、そういう、「作業に逃げ込む」ようでは深い思考による気づきは得られません。

手前の「食い扶持」は、業務受託や営業代行、コンサルティングや金融スキーム構築の請負仕事で確保し、その「他流試合」を重ねながら、自らの心の声というか経営理念をブラッシュアップしながら、勝ち手となる具体的な事業構想を練りにねって、確信するところまで持っていく、このような動かない事業構想手段というのは、事業家が心豊かに、後悔せずに自らのエネルギーを投入する方法ややり方として、最適ではないかと思いました。

事業開発や新規事業、起業というと、すぐに組織が、資金調達が、マーケティングやプロダクト、サービス内容というような具体的な話になってしまいますが、その前に、自らがどのような価値を作り出すことができるのか、それは本当に心の底からやりたいことなのか、といったことを振り返りながらいつでもその理念を語れるようにしておくように思索を深めていくことも、同様にとても大切ではないかと考えています。

この居飛車戦法は、その深淵に向き合う度胸と信念があるものにしか、取れない戦法です。

しかしながら、外形的なリスクは非常に低く、同時に生き残るという生存戦略にも合致した、柔軟な戦略でもあります。

動かず、受託に徹する、というのは、実は多くのサラリーマン企業に勤める勤め人が、無意識的に行っている「生存戦略」と言える面もあると思うのです。

大事なのは、こうした「受託」仕事を、自らが選び取っているのにもかかわらず、「やらされている」「ブラックだ」と他責に考え、自らに報酬や給金を運んできてくれるとても大切なはずの顧客や企業や組織に対して、陰で文句をいうようなことにできるだけならない、ことだと思っています。

この方に限らず、根っからの起業家たちが、それぞれの道を定めるためにどのような不動の思索を深めるのか、これからも注目していきたいと思います。

筆者ですか?いまだ不動であり、そろそろ来年あたりから本気出そう(3年連続3回目の年末挨拶)と思っております。

そんな筆者からの感想は以上です。

(2019年12月25日 水曜日)