「己を捨てたら勝てる」経営理念で頑張る地域の老舗タクシー会社「光タクシー」のお話です(2018/05/29)

光タクシー 本社ホームページより

おはようございます。

2018年5月の経営に関する配信記事です。

筆者の好きな漫画に、「賭博黙示録カイジ」(1996年)に始まる「カイジ」シリーズというのがありますが、この漫画は、初出1996年(平成8年)ということで、筆者が社会人生活を始めるときと同じくらいに連載が始まったものであり、世相を反映して長く読み継がれています。

この、同時代的に進んだシリーズとは別に、すでに筆者が学生であった時にはベストセラーの地位を確立していた「ナニワ金融道」シリーズについては、筆者は就職した金融機関(長期信用銀行の関西採用)において学ぶべきところの多い、大阪の下町の金融街の一面の真実が描かれており、銀行の研修では決して教えない経済社会のありかたを教えてもらいました。

さて、そんな世知辛い世の中においても希望を失わない、といったテーマで描かれる上記の漫画の中に、「己を捨てたら勝てる」といった言葉が出てきます。

この精神をそのまま体現している素晴らしいタクシー会社が、人口減の北九州市で奮闘しています。

新日鐵八幡製鉄所(2019年4月から日本製鉄)のおひざ元、八幡東区枝光本町(えだみつほんまち)に本社を構える「光タクシー」は、製鉄所構内に乗り入れ可能な地場タクシー会社として、地域と共に歩んできました。

筆者も北九州市八幡東区出身ですから、子供のころはよく光タクシーを配車してもらい、黒崎やら八幡駅前やらに連れて行ってもらいました。

北九州市は、昭和56年にその人口のピーク106万人を数えましたが、その後続いた「鉄冷え」「産業の空洞化」により、人口は減少をはじめ、平成30年現在では95万人となっております。

高齢化も進み、いわば日本都市圏ではその最先端を行っている地域です。

ピンチに立たされているこの地域の商店街は、大型ショッピングモールやコンビニに押されて、気が付けばシャッター通りとなってしまいます。

そんな中、福岡県北九州市にある枝光本町(えだみつほんまち)商店街は多くの人で賑わっており、わずかながら店の数も増えているといいます。

ここは以前、官営八幡製鉄所の本社事務所のおひざ元でした。

日本で最もイケてる製造業の総本山の一つだったのです。

明治34年に事務所ができ、「鉄の街」として発展しました。

日清戦争で得た賠償金をもとに作られた、1901年の記念高炉が、今もそびえたっています。

筆者が小さい頃は、建設当時の姿でその高炉はあり、そばまで行って眺めたり触ったりすることもできたのです。

日本のサラリーマンたちの憧れの住宅街として、10万人もの人が商店街周辺に住んでいたといいます。

しかしながら、平成2年(筆者中学生のころ)に事務所が移転すると人口は激減、一気に高齢化と人口減少に見舞われます。

「お客が減り、このままでは商店街が無くなってしまう」

危機感を抱いた光タクシーの石橋社長は、年金生活の身にはタクシーは使えないというおばあさんに尋ねます。

「買い物のために、どういう乗り物が必要ですか?」

答えは、

「安い乗り物」

でした。

そこで石橋さんは12人乗りのマイクロバスを導入し、地域を巡回する乗り合いタクシー事業を始めるのです。

「枝光やまさか乗合タクシー」(通称:ジャンボタクシー)です。

この地域の住宅街は、高台にあり(平地は全て工場でした)、お年寄りが歩いて下ってこれたとしても、重い買い物荷物を手にもって坂を上がるのは厳しいところでした。

筆者の育った実家も、高台の公団住宅アパートでしたから、このことはよくわかります。

このタクシーは、どこで乗って、どこまで行っても200円単一料金です。

実に、年間延べ10万人以上が利用する商店街の集客マシンとなりました。

光タクシーは採算度外視でジャンボタクシーを運営していますが、地域の足として貢献している同社の理念は、地域はもちろん全国に知られることになり、同じく少子高齢化に苦しむ地域からの視察も多いということです。

こんなブログで同じ地域出身者が紹介するのも、光タクシーの人徳があるからこそでしょう。

これを読まれましたみなさん、北九州市八幡や戸畑に来られたら、是非光タクシーを利用してあげてください。

己を捨てたら勝てる、その経営を体現している会社の息吹が聞こえると思います。

重ねて、お願いしておきます。

こちらからは以上です。

(平成30年5月29日 火曜日)

光タクシー 企業紹介より
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