人間関係の悩み
(結婚式のスピーチ原稿という形)
本日は誠におめでとうございます。いえ、新郎新婦にお伝えした言葉ではなくて、文字通り、この披露宴会場にお集まりのゲストの皆さんに向けて、伝えた言葉です。これから私は、来賓としての挨拶や祝辞を述べることは致しません。今から私が述べるのは、いつもの塾長としての、「セミナーコンテンツ」です。
この内容は、全ての人々がこれからの人生において生き生きと輝いていくための珠玉の内容を詰め込みました。(拍手を促す)
人間関係の悩み、これほど私達の人生を曇らせたり、自分の可能性に蓋をする悩みはないことと思います。人間関係の悩みが、もしなかったら、どうでしょう。職場で働くとき、自分のやりたいことをやろうとするとき、自分の夢を叶えたいとき、家庭生活を営むとき、どれほど安心感をもって生活できるか。これまでの人生で人間関係の悩みがあって苦しんだといわれる方は多いかと思います。全員といっても過言ではないでしょう。でもその人間関係の悩み、いろんな種類があります。取引先との関係、上司との関係、同僚との関係、友達との関係、知人との関係、親戚との関係、家族との関係。初めてあった人とどのような人間関係、信頼関係を作るのか、たくさんの人間関係がありますが、その中で、最も複雑で、最高度に理不尽で、困難極まりない人間関係、これが夫婦関係であります。
おかしいと思いませんか夫婦関係って?だって全くの他人として生まれて育った人同士が、毎日一緒に生活するんですよ?法的に配偶者として、夫婦間として社会的に認知されて晒されて公示されて、名前までどちらかに片寄せされちゃうんですよ??朝一緒に起きてご飯を食べて、下手すると昼ごはんも夜ご飯も一緒とか、風呂順番に入るとか、洗い物をするとか洗濯をするとか、掃除するとかゴミを捨てるとか、トイレ掃除をするとか、びっくりですよね。
そうした生活習慣というものは、わたしたちは子供の頃から、自分のまわりの環境に影響されていろいろ組み上がって固まってしまっているものであります。ということで、全く同じ生活習慣をもっている人間なんて、この世に二人といないわけなのです。たとえば関西方面の奥地に行けば、うどんとお好み焼きを一緒に食べたりします。どちらが主食でどちらがおかずなのかわかりません。炭水化物と炭水化物。こんなの関東、東京ではありえない組み合わせです。でも関西では常識です。いいとか悪いとかではないのです。関東では、二郎系ラーメンという、ちゃんぽんなのか何なのかわからない、ごった煮の食品が幅を利かせています。かようにこれほど、生活習慣というものは、全てにおいて根本的に違っている、つまり、生活習慣に正解などない。生活習慣は全員バラバラなんです。にもかかわらず、性別も違う、生活習慣も違う。血の繋がりもない、こんな完璧他人の二人が一緒に生活するなんて、そりゃ苦行そのもの、なんです。
そこ、頷いている人多すぎます。(笑)
さて、ここからが本題です。人間関係の問題の原因は、たった一つです。
情報不足です。
私は、数年前、さる大物の大好きなライブ会場に行きました。そのアーティストが好きで好きで、もう絶対邪魔されずに見たいもんですから、一番前の高い席を奮発して予約して買って、行きました。もう誰にも邪魔されない、最前列でライブを見たい!その一心だったわけです。ワクワクしながらライブのスタートを待っていると、折しもライブのスタートのまさに直前になって、小さな男の子と、お父さんとお母さんの家族連れが、わたしの前の席に座ったんです。そこ、一般に販売している席じゃありません。え?これ何なん?おかしいだろ?とイラッとするわけです。でも、すぐその後にその家族を連れてきたスタッフさんが小声でわたしに囁いたんです。実は、この男の子は、生まれながらの先天性の難病を抱えていて、長い間入院生活を過ごしてきました。その間ずっとこのアーティストさんの歌に支えられてきたんです。でも最近ドクターから、余命宣告を受けて、家族との思い出の時間を作ってくださいと言われて、それでライブに来られました。そんなご家族なんで、お連れしました。どうか一番前で聞かせてあげてもらえませんか、と言われたのです。その瞬間、これまでのわたしのイライラや怒りの感情は吹っ飛び、祈りに変わりました。どうか今日のライブ、最高のライブになってほしい。このご家族の心の深くに届く、素晴らしい歌声を届けてほしい。頼むと。今日のこの最高の体験をもって、家に帰ってもらいたい。
でも、これ、何も状況は変わってないです。単に情報不足が補われただけです。それほどまでに、人間関係の問題というものは、情報不足が少しでも解消されれば、まるで起きなかったことのように、静かに細やかなものに変わるのです。それくらいの違いが出ます。
さあ、あとは解決方法を知って、実践するだけです。
今日、この夫婦となろうとする二人をご覧ください。この人間関係の問題の唯一の問題である情報不足、を解決するたった一つの方法。それが調査研究、リサーチです。リサーチとは、調査研究を、相手の人間を知るために行うことです。相手に何を届ける、自分のことをわかってもらう前に、相手の情報を得ることによって、相手が本当に何を求めているか、それを知った上で自分が提供できる手段や価値はなんだろうかと探索する作業、これをリサーチと呼びます。
どうでしょう。結婚生活を営むかなり前から、結婚したら仕事をお互い続けるか、子供は授かるのか何人なのか、リサーチしたはずです。同じところに住み続けるのか、世界中を飛び回るのか、そんなのもリサーチしたはずです。つまり、この二人、披露宴の壇上にいる二人に限らず、全ての夫婦関係に悩む人達は、このお互いの情報不足を減らすために、知らず知らずのうちに努力を重ねているわけです。我々は、この二人の間に大きく横たわる生活習慣の溝を埋めるために、情報不足を補ういろいろな方法を知っています。それが調査研究、リサーチであり勉強です。これは、仕事に関しても家族関係に関しても、そのまますぐに応用が効きます。全てに共通する珠玉のメソッドと言って良いのです。さて、このメソッドは、皆さん必ずできる能力があります。言葉をかわさなくても、身振り手振り目線一つで情報格差を埋めることができます。観察しましょう。情報不足を補いましょう。ときに言葉はいりません。相手のことをわかろうとすること、それすなわちリサーチです。本を読んでもいいし、人生の先輩に尋ねてみても、師匠に聞いても間に誰かに入ってもらってもいいし弁護士や医者やカウンセラーに聞いてみてもいいです。人間関係のトラブルの原因は情報不足です。情報不足をリサーチを行って埋めていく。家庭で、職場で、取引先で、このリサーチをどれだけやれるか、そこに自らの人生を豊かにする方法が詰まっているのではないか、と思うわけです。
リサーチとは、相手のことを深く知るために行う、主体的な調査と研究のことです。どうしても私達は、自分が自分が、となりがちな性質を持っています。それは自分のことを大切にするということで、必要なことです。気に病むことはありません。でも、自分ひとりでできることは本当に限られています。自分ひとりで幸せをいっぱいに感じることって、かなり難しいのではないかと思います。きっとそんなときには配偶者の存在や、近しい家族、仲間や師匠や教え子の存在は大きなものになっていくと思うのです。そのときに必要なのが、リサーチ力です。相手のことを知るために自分が行う行動、調査と研究、そして勉強です。
以上です。