旭川学力テスト事件

旭川学テ事件

旭川学力テスト事件
上告審判決

建造物侵入、暴力行為等処罰に関する法律違反被告事件
最高裁判所 昭和43年(あ)第1614号
昭和51年5月21日 大法廷 判決

上告申立人 被告人ら・検察官

被告人 佐藤彰 外3名
弁護人 尾山宏 外410名

検察官 長島敦 外4名

■ 主 文
■ 理 由

■ 検察官の上告趣意
■ 弁護人森川金寿、同南山富吉、同尾山宏、同彦坂敏尚、同上条貞夫、同手塚八郎、同新井章、同高橋清一、同川島基道の上告趣意
■ 検察官の弁論要旨
■ 弁護人弁論要旨(昭和43年(あ)第1614号事件、昭和44年(あ)第1275号事件共通)
■ 弁護人弁論要旨

■ 主  文

 原判決及び第一審判決中被告人松橋武男、同浜埜登及び同外崎清三に関する部分を破棄する。
 被告人松橋武男を懲役3月に、被告人浜埜登を懲役1月に、被告人外崎清三を懲役2月に、処する。
 被告人松橋武男、同浜埜登及び同外崎清三に対し、この裁判確定の日から1年間、その刑の執行を猶予する。
 第一審及び原審における訴訟費用の負担を別紙のとおり定める。
 被告人佐藤彰の本件上告を棄却する。

■ 理  由
(本件の経過)
[1] 本件公訴事実の要旨は、
被告人らは、いずれも、昭和36年10月26日旭川市立永山中学校において実施予定の全国中学校一せい学力調査を阻止する目的をもつて、当日、他の数十名の説得隊員とともに、同校に赴いた者であるところ、
第一 被告人佐藤彰、同松橋武男、同浜埜登は、前記説得隊員と共謀のうえ、同校校長斎藤吉春の制止にもかかわらず、強いて同校校舎内に侵入し、その後、同校長より更に強く退去の要求を受けたにもかかわらず、同校舎内から退去せず、
第二 同校長が同校第2学年教室において右学力調査を開始するや、
(一) 被告人佐藤は、約10名の説得隊員と共謀のうえ、右学力調査立会人として旭川市教育委員会から派遣された同委員会事務局職員藤川重人が右学力調査の立会に赴くため同校長室を出ようとしたのに対し、共同して同人に暴行、脅迫を加えて、その公務の執行を妨害し、
(二) 被告人浜埜は、右学力調査補助者横倉勝雄に対し暴行を加え、
(三) 被告人松橋、同浜埜、同外崎清三は、外3、40名の説得隊員と共謀のうえ、右学力調査を実施中の各教室を見回りつつあつた同校長に対し、共同して暴行、脅迫を加えて、その公務の執行を妨害し
たものである。
というものであつて、第一の事実につき建造物侵入罪、第二の(一)及び(三)の事実につき公務執行妨害罪、第二の(二)の事実につき暴行罪に該当するとして、起訴されたものである。
[2] 第一審判決は、右公訴事実第一の建造物侵入の事実については、ほぼ公訴事実に沿う事実を認定して被告人佐藤、同松橋、同浜埜につき建造物侵入罪の成立を認め、第二の(一)、(二)の各事実については、いずれも被告人佐藤、同浜埜が藤川重人及び横倉勝雄に暴行、脅迫を加えた事実を認めるべき証拠がないとして、公務執行妨害罪及び暴行罪の成立を否定し、第二の(三)の事実については、ほぼ公訴事実に沿う外形的事実の存在を認めたが、斎藤校長の実施しようとした前記学力調査(以下「本件学力調査」という。)は違法であり、しかもその違法がはなはだ重大であるとして、公務執行妨害罪の成立を否定し、共同暴行罪(昭和39年法律第114号による改正前の暴力行為等処罰に関する法律1条1項)の成立のみを認め、被告人佐藤を建造物侵入罪で有罪とし、被告人松橋、同浜埜を建造物侵入罪と共同暴行罪とで有罪とし、両者を牽連犯として共同暴行罪の刑で処断し、被告人外崎を共同暴行罪で有罪とした。
[3] 第一審判決に対し、検察官、被告人らの双方から控訴があつたが、原判決は、第一審判決の判断を是認して、検察官及び被告人らの各控訴を棄却した。
[4] これに対し、検察官は、被告人松橋、同浜埜、同外崎に対する関係で上告を申し立て、また、被告人らも上告を申し立てた。
(弁護人の上告趣意について)
弁護人森川金寿、同南山富吉、同尾山宏、同彦坂敏尚、同上条貞夫、同手塚八郎、同新井章、同高橋清一、同吉川基道(旧姓川島)の上告趣意について
[5] 第一点は、判例違反をいうが、所謂引用の判例はいずれも事案を異にして本件に適切でなく、第二点及び第三点は、単なる法令違反の主張であり、第四点は、事実誤認の主張であり、第五点は、判例違反をいうが、所論引用の判例はいずれも事案を異にして本件に適切でなく、いずれも適法な上告理由にあたらない。

暴力教師、ほんと勘弁してほしいですね。