(2020/01/25)コンプライアンスという正義のお約束が世の中を窮屈にしているかもしれないということについて論じてみました
おはようございます。
2020年1月の、筆者による配信記事です。
この公開ブログも、実に2013年8月から始まっており6年半になりますが、その中で世界情勢も世の中もかなり変わってきた、総論としては良くなってきたのは間違いないと思っています。
しかしながら、こうした社会の急速な浄化と発展により、さまざまな、あらゆる表現手段や振る舞いが、法令違反となり法律的に罰せられるはるか手前で社会的に抹殺されることも多くなってまいりました。
例えば、類型としてはテレビドラマの一つに過ぎないNHK大河ドラマのについて、国民から広く受信料を徴収しているという公益性の建前の観点から、薬物犯罪で逮捕された女優の出演シーンを全てカットして別の役者を立てて取り直しを行い、放映日程がずれ込むなど、もはや生身の人間を使うことがますますリスクとしか思えない商売になって参りました。
全ての役者を、実際には存在しない、著作権も人権もない、AIが生み出したバーチャル俳優によって行わせる、完全CG実写版ドラマの制作に振り切る時代もまもなくやってくるかもしれません。
この領域に至るまでは、全ての身体検査を済ませて今後の表明保証も行った人間しか、仕事に入ることができない、ということになり、これは一般企業で求められているコンプライアンスの正義マンの暴風が、顕著にこうした芸能界という、もともと虚構であるゆえにもっとも人目を引く業界にも、いよいよ及んできたということだと感じています。
しかしながら、全てその活性炭で限界まで浄化した、味も何もないコンテンツにすれば良いという正義マンの意向が吹き荒れている一方、何故か2020年1月の現代に至っても日本の指定暴力団の総本山であるところの、かつて山口組三代目頭目自らがプロデュースし長く歌姫として君臨したかの女性歌手美空ひばりさんは、なんと死後30年経っても、AIとして2019年NHK紅白歌合戦に出演できるところに、いろいろと世の中まだまだ衡平ではないところが感じ取られ、それもまた人間社会の面白い「揺れ」だと考えています。
何故か昭和を代表する歌手ということで、令和はじめての紅白に華麗にデビューです。
沢尻エリカさんの事務所サイドも、この異なる基準については思うところがあるかもしれませんが、実質的な国営放送のNHKからすれば、AI美空ひばりはあくまで創造物であり、本人とは関係ないという立場なのかもしれません。
もちろん公式には未確認です。
民放ドラマにおいても、ドラマの中で恋人役を演じさせていた俳優同士が、実際の生活においても恋人関係にあった、特に男性俳優は結婚しており3人の実子もいるという個人的な事実が明るみになり、男女双方の俳優に非難が集中し、東出氏唐田氏双方とも謝罪の会見や今後のドラマの出演自粛を発表していますが、ドラマの中の恋人同士の役柄は好んで観る視聴者ファンであればあるほど、現実世界で役柄の練習をしていたともいえなくもない2人を激しく叩くという構図が、何とも大衆の好みを反映しており、これでは少子化も加速するばかりかと少々残念に思っております。
結婚相手やパートナーが、いくら酷いことをしたとしても、会ったこともない人にパートナーやドラマの共演者のことを悪く言われたくないのは、渦中の俳優らの関係者としても当然でしょうが、そのような移り気な大衆から広く広告宣伝料をいただいているというテレビ媒体の昭和リテラシーの芸能事務所の立場からすれば、致し方ないのかもしれません。
ただ、「正義」という価値観自体も時代と共に変わりゆく概念、いわば虚構、イリュージョンであるということは強く主張しておきたいと思います。
不倫報道に『許せない!』とか『酷い!』とか言ってる人がさらに称賛されているという状況ですが、その不倫の結果生まれた子供が世の中を大きく変えたりしているのは歴史を少しでも知れば容易にわかるので、あまり、その時の価値観一本で評価しすぎるのも、またそれは問題だと思うのです。
不倫した婚姻相手やパートナーに対し、不倫された側が怒りをもつことはあっても、赤の他人がそのパートナーを卑下することが何故か大いに受け入れられるという風潮こそ、むしろ変わって欲しいと私は思います。
世界は大いに狭くなりましたが、そんなの関係ない、という部外者が批判することも同じように増えており、我々はこのSNSやスマホという時間泥棒との付き合い方を見直すべき時期に来ているのではと思いました。
次回は、この魔法ですが恐ろしい時間泥棒でもあるこれらのSNSやスマホというものとの付き合い方について、考えてみたいと思います。
こちらからの今日のコメントは以上です。
(2020年1月25日 土曜日)