ビールの歴史をとりあえず生でというようになった経緯を中心にご紹介
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| 熱処理ビール |
おはようございます。
2015年5月のビールに関する配信記事です。
ビールの美味しい季節になりました。
居酒屋などではとりあえず生、などといってジョッキのビールを頼むのが日本全国の原風景になっているように思われますが、そもそも、「生ビール」とは一体何なのでしょう。
生ビールではないビールがあるのかと思う向きもあるかもしれません。
実は、生ビールではない、「熱処理した」ビールというのが最初でした。
日本で最初にビールを製造しはじめた明治2年(1869年)頃から当面の間は、酵母を取り除くための濾過技術の程度が低かったため、わざわざ加熱処理をして発酵を止めていたといい、そして、これを「熱処理ビール」と呼んでいたのです。
消費地への長時間の輸送中に、発酵が進んでコルク栓が抜けるなどの事故もあったようです。
ついに熱処理せずに提供できるビール瓶詰め技術が登場
しかし、1960年代後半になり、醸造技術と瓶詰め技術の向上により、ついに熱処理せず(非熱処理)にビールのできたての美味しさを消費者に直接運ぶことができるようになりました。
ここに、非熱処理のビール=生ビールが誕生したのです。
こうして、生ビールは居酒屋に限らず食卓に上る瓶ビールや缶ビールにも進出し、今や我々が口にするビールのほとんどは生ビールという状況になってまいりました。
しかし、呼び名は相変わらず「生ビール」です。美味しいビールを飲むことができるようになった半世紀前の記憶を大切にしているのかもしれませんし、単に名称変更が面倒なだけなのかもしれません。
もはや半世紀以上が経過しようとしている以上、ここでたんに「ビール」と呼べばいいだけなのですが、最初につけた名前というのは粘着的に残る例だと思います。
因みに、昔ながらの昭和中期生まれ世代のビール好きのため、キリンビールは「クラッシックラガー」、アサヒビールは「アサヒスタウト」、サッポロビールでは「サッポロラガー」などが、わざわざ熱処理ビールとして製造販売されています。
時には通なこのような熱処理ビールを味わいつつ、ビールの歴史に思いを馳せてみるのもよいかもしれません。
どちらかといいますと日本酒党であります筆者ですが以上です。
(平成27年5月7日 木曜日 最終更新:平成28年5月7日 土曜日)


