刑事訴訟法基本書

宇藤崇・松田岳士・堀江慎司『刑事訴訟法(LEGAL QUEST)』有斐閣(2018年2月・第2版)……京大系学者(鈴木茂嗣門下)による共著テキスト。判例・通説をそつなく紹介しており、判例分析はとりわけ詳しい。重要な41判例の要旨を掲載しているのも特徴的である。各制度の理論的根拠を示しつつ個々の要件解釈にもきちんと触れているため、全体的に完成度が高い。特に、堀江執筆の証拠法は白眉である。全体の分量が増えすぎることのないように削らなければならなかった記述も少なくない(はしがき)とのことであり、情報量は、詳細な体系書と有斐閣アルマの中間といったところであろう。捜査・公訴・証拠パートは詳しく、司法試験の刑事訴訟法分野はこれでカバーできる。しかし、その他の手続の記述はそれほど厚くないため、予備試験の実務科目受験者はコンメンタールや講義案を併用するとよいだろう。第2版において、2016(平成28)年刑訴法改正に加え、近年の重要判例にも対応。「受験新報」2019年12月号特集「合格者が使った基本書」刑訴1位。序章+全8章。A5判、600頁(本文573頁)。