(2021/02/23)有給休暇を時効消滅させずに完全取得する当たり前の会社にするのが先かと
▼女性の社会進出とか、ブラック企業からの脱皮とか、いろいろと会社の従業員を守るための制度改革の声がこだます昨今の職場環境ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。当社では、実は労働基準法令に守られた従業員(狭義の意味でも社員)はおりませんので、実は直接の関係はないのですが、やはり、会社の代表といたしましては何を差し置いても労働者を休息させるための有給休暇の完全取得はまず実現させないといけない、それすらできない経営者は雇用者を雇うべきではない(人の使い方が下手)という信念を持っております。
▼プロ野球の先発投手は、厳密なローテーションルールの中で登板間隔を調整します。そして、登板すれば、できるだけ長い回数、クオリティの高い(失点の低い)投球内容が求められます。早い回数で降板してしまえば、負け試合でも勝ち試合でも、その後に控える中継ぎ陣、抑え(クローザー)に多大な負担をかけることになってしまいます。野球の攻撃(バット)は水ものですから、いきなりの味方の大量得点で勝ちの目が見えてきた場合でも、次回登板予定の先発投手をひっぱりだしてくることはできません。
▼このため、「再登板」もありうるピッチャーを、一旦守備負担が軽い(といわれる)レフトあたりにコンバートしておく、といった技も、高校野球レベルでは使われることがありますが、流石に分業制が進んだ今のプロ野球界では、投手は一旦マウンドを降りたらその試合はそれまで、という使い方になります。ベンチワークが非常に重要なのです。企業における野球のベンチワークにあたるのが、社長の決定ということになります。
▼会社における従業員の仕事のあり方についても、これと全く一緒であって、マウンドを守り試合を作る、バッターや野手はそのピッチャーをもり立て少しでも負担を軽くするため得点を重ねるように、仕事をローテーションで回していく必要があります。でないと長いペナントレースを勝ち抜くことはできません。
▼この点、ほかの労働債権債務関係、とりわけ賃金の消滅時効は5年になっているのにどうして有給休暇のみ2年のままなのかといいますと、官僚答弁的には、そもそも有給休暇の目的は、仕事から離れて、心身をリフレッシュすることであり、できるだけ、有給休暇が与えられた年にきちんと取得できるよう利用しやすい職場環境をつくることのほうが大事だということになります。しかしながら、2年で時効になる20日の有給休暇を、ひたすら捨ててきた昭和生まれ世代としましては、そんなのは表向きの理由であり、消滅時効を5年にしてしまうと、前人未到の有給休暇100日(!)というのが出現してしまう、その恐れの方が強いのではないかと邪推してしまうのです。
▼女性の社会進出や働き方改革、パワハラ・セクハラ撲滅!などと声を張り上げてと叫ぶより、そもそも当たり前の適切な休暇休養を取る、適切なローテーションで会社としての仕事を回していける組織づくりが、すべての決定を行う社長に課せられた第一の使命であろうと思います。偉そうなことは、この有給休暇の完全取得達成を続けてから発信しても遅くないでしょう。