好きと狂気

ぬるいんだよ

性科学、性風俗の研究者・小説家の高橋鐵の晩年の言葉

「僕はなんでこんなことをしてきたんだろう。君、僕はいったい生涯、何をしてきたんだい?」

は思い出す度にグッときますね。

高橋鐵は性をテーマにしたエッセイや小説を数多く出版し、戦中は何度も特高警察にしょっぴかれ、発禁処分を食らった無頼漢。

個人的には、フェチズムから歴史上の人物の人間性を分析した『性的人間の分析』や神話における性表現から日本人の民族性にアプローチした『日本の神話』などは幾度となく読み返しました。

経歴や書籍の内容からして「自分の好きなことを国家にも従わずに貫いた彼は、さぞや後悔のない生き方をしていたに違いない」と思っておりました。

そんな彼をして、生涯を振り返って出た言葉が、これです。

この言葉を知った私は

どんな達人であろうと、『やり遂げて満足』なんて思わないのだ。常に道半ばだと思って研鑽を続けねばならないのだ。

冷静には説明のつかない、『なんだかわけのわからない衝動』に突き動かされている、いわば狂気の状態こそが、『何かを愛する』ということなのだ。

というふたつを思いました。

「最近流行ってるあの歌手、けっこー好きー」なんてのは好きの範疇に入らんのです。