断捨離

【断捨離】
何ごとも、成果を得たいと思えば何かを犠牲にしなければならないです。世の中の原理は等価交換。得たいものが大きければそれだけ捧げるものも貴重になります。鋼の錬金術師、の世界の通りです。かの世界の主人公たちは、自分の優しい母親を生き返らせようとして、禁断の人体錬成を行い、それぞれの身体や心の一部を失うことになりました。
翻って筆者の世界を見るに、本日(2024年9月8日(日))は、筆者も受けたかった司法試験予備試験論文試験の終了日でした。択一試験で2点足らずに論文に進めなかった自らのせいですが、やはり、捧げるべきものが少なかったのであろうと思います。何かを先に捧げなければ、目標には到達しない。わかっているようであまりわかっていませんでした。
勝利を得たいのにまだ後生大事に持っているものが多すぎました。弱虫ペダルの御堂筋翔(みどうすじあきら)くんは、インカレ2日目で3位に沈んだその夜、退部して箱根から京都に自転車で戻ろうとしたところで思い直し、「まだ捨てられるものがあった」として自分の髪を丸坊主に切り刻む、そんな場面が心をよぎります。
戒めとして、これから筆者が捧げる、もしくは手放すものを挙げておきます。
①お酒
お酒は16歳くらいから今の49歳くらいまで長く嗜んできました。多くの飲み会、接待、合コンに懇親会と、酒は自分の世界を豊かにしてくれる人間関係の潤滑油でしたし、酔った勢いでなんらかやらかして子供ができたこと…もあります。しかし、お酒を飲むと思考力が鈍ります。眠くもなり、早起きができません。そこで、2023年12月21日に、2023年予備試験論文に落ちた日から、酒を合格まで飲まないことにしました。合格、より筆者の寿命が先に来てしまった場合、金輪際酒の味を知らずに人生を終えるわけですが、それでも構わないと決めました。飲みたいから合格したい、という前向きなモチベーションが盛り上がってくるわけでもありませんが、少なくとも、合格の暁には心配をかけたみなさんを招いて、筆者のお金で、浴びるほど一緒に飲んでもらう機会を作らせていただきます。これは、民法でいうところの将来の不確定な事象にかからしめる「条件」というものですから、実現しない可能性もあります。その意味で、一旦酒を卒業した、ということになります。
②朝寝
毎日、盆でも正月でも、祝日でも土日でも、とにかく、朝は2:30-3:50くらいの間に起きています。一度起きて動き出す、何かを読む、体を動かす掃除洗濯をする、過去問を解く、論文を書く、なんでもいいので競争相手に先んじて動き始めなければ勝てません。ですので、甘美な朝寝を捨てることにしました。例外はありません。証拠に、起きて動き出したら誰かに時刻がわかるチャットアプリであいさつする、などの習慣を自らに課しています。本当は、24時間やっているマックかファミレスなどに出向いて、そこの時刻が打刻されたレシートを貰うというのが一番正確なのですが、自らが知っていればよいので、チャットアプリやメールで代用しています。自分は、22歳の春にきっかりと大学学部を出て社会人となり、以来28年間を一日も休まず働いてきた、という自負があります。大学を出ずに、大学院か留年するなりして、2年ほどの勉学専用時間を貰えれば、あるいは早期に法曹(弁護士)になれた人生もあったかもしれません。しかし、22歳で卒業できるのに、さらに大学なりにとどまり親に学費を出してもらうというのはどうしても納得がいきませんでした。私の母は重度のリウマチ患者で一級障碍者、父親は警察官で現場を回っていました。北九州市小倉南署、という、あの凶悪な特定危険指定暴力団を相手に職務に精励していたわけです。その長男たる自分が、のうのうと学生気分を満喫するのは嫌だと思いました。同時に、何年かかってもかならず社会人やりながら司法試験に受かってやろうと決めたのです。以来28年。ずいぶん遠回りしましたが、未だ気力も体力も充実しているので本気でやることにしました。もともと大学時代は体育会端艇部(ボート部)でして、こちらも早朝の琵琶湖で湖水が凪いでいるときに練習していたものです。4:30-4:50起床くらいの毎日でした。高校時代は山岳部で、山も朝は早くて何も知らない高校一年の夏合宿で北アルプスに連れてこられて、2時起きでたたき起こされて槍ヶ岳にアタックして日の出を見たのは忘れられません(やせていたのに4kgさらに細りました)。ですので、早起きは慣れています。毎日、ちょっとだけ嫌だなと思いますが、嫌だとか眠いとかいう思いも捨てることにしました。人間、起きて16時間くらい経てば勝手に眠くなれます。ですので、自分には不眠はありません。のび太並みの入眠速度で眠ることができるようになりました。
③髪
月に一回、うちで飼っているトイプードルをトリミングに連れていくタイミングで、自分の頭も丸刈りにすることにしました。なじみの床屋で座って、そのまま片手で短答アプリを解いたり判例百選読みながら、そのうち寝てしまっているうちに頭は丸刈りですっきりです。今どき、野球部か柔道部くらいしかこんな頭はしていないでしょうが、どうせほおっておいても禿げてきていたし、毎朝髪形を整えて寝癖をとる、風呂から上がってドライヤーなりで髪を乾かすという手間を捨てることにしました。髪は長いお付き合いといいますが、私にとってこれからの人生では捧げて時間を捻出するものとなったわけです。ちなみに、髭も医療脱毛で白髪以外生えて来なくしました。
④持ち物
多くの個人所有の持ち物を、断捨離しました。写真をご覧ください。わたしの勉強部屋です。ほぼ何もない、独房です。ポイントは、古いiPadに表示されている「無限時計」アプリのデジタル時計です。この時計で時間感覚を研ぎ澄まし、一定の時間で一定の内容の答案を作り、短答の正解にたどり着く訓練をしています。目に入る余計なものを消去すべく、メールの断捨離、LINE通知の整理、書籍の処分と進めて何もない、学習に集中するしかない環境を作り出しました。毎日掃除して整え、身体を動かし体操筋トレ、メンテナンスして基本知識を繰り返し身に着けます。
このように、捨てる、整える、手放す、距離を置く、総じてその場その場で処分する、という習慣をつけたことで、今どう動くか、時間をどう大切に使うかという気持ちを研ぎ澄ませて日々毎時間を過ごしています。この記事も、最大20分程度の時間で書くよう自らに課しています。

最後に、暑い夏もそろそろ終わりますが、何の成果も得られませんでした!(進撃の巨人、冒頭の調査兵団)の私のこの夏を振り返るにつけ、耳の中にこだまする、この、かまきりりゅうじの「おれはかまきり」を口ずさんで、この駄文を終わります。ご唱和ください。
...
おれはかまきり かまきりりゅうじ
おう なつだぜ
おれは げんきだぜ
あまり ちかよるな
おれの こころも かまも
どきどきするほど
ひかってるぜ
おう あついぜ
おれは がんばるぜ
もえる ひをあびて
かまを ふりかざす すがた
わくわくするほど
きまってるぜ
...
かまを筆に持ち替えて
ふりかざして
やんよ
人生は等価交換。
https://birumenking.com/?p=55117
何かを捨てないと、何かは得られない。
以上