商業施設のお店やテナントに勤めるスタッフのみなさんが自然に交流できるところを作りたい
おはようございます。
2018年5月のタイムカードに関する配信記事です。
日本の経済社会は、今後数十年続く少子高齢化の影響で、先細っていくことが目に見えている、そんな実感が世の中を覆っているところです。
そんな中、商業施設の物販施設やテナントで働く人たちも、疲弊が目立ってきています。
そもそもあんまりお客さんがやってこない、ちょっとさびれたお店に勤めるスタッフというのは、とてもキツイものです。
オペレーションできる人員はどんどん減ってしまい、あげくスタッフ一人のワンオペになり、さらに本社の(何も知らない)社内官僚的なエリアマネジャーらからは、暇な時間があったら気の利いた販促策を考えろとか、ぐちゃぐちゃ言われるものです。
そんなになったら、もはや通勤するのもおっくうになってしまいます。
しかし、そんな個別のお店やテナントでは同じような問題を抱えているのに、ショッピングセンター全体を見渡せば、そんな他のテナントさんのスタッフさんとの付き合いは正直生まれにくいものです。
売上は企業秘密、という縦の土管型(サイロ型)秘密主義もあるけれど、なかなか自分の仕事の話はしにくいものなのです。
そんなに、バカ売れしているわけではないから。
正直、失敗も多いですし。
外した販促も多い。
そもそも、百貨店とか雑貨モールといった、縦に長い現代的建物においては、フロアが違えば会うことも見ることもないという関係ばかりなのです。
それよりも疲れたんだからとっとと帰って寝る、というのが通常の姿でしょう。
そんないわゆる普通のショッピングセンターに、階層ごとに、テナントごとに分かれて孤立しているそんな現場のテナントを回しているスタッフたちが、何とか縦横の関係が作れたら面白いという社会実験をしてみようと思い立った人がいます。
ショッピングセンターのちょっとした空きスペースを、テナント従業員の休憩所として使うのではなくて、レトロなタイムカードを置いて、繁華街じゃないけれどちょっとした職場帰りのおしゃべりコミュニティを作るというコンセプトで、立ち飲食できる場所として作ってみるという「ゆるい」社会実験です。
これまでは、喫煙者ならば、喫煙ルームでちょっとしたコミュニティを作り上げたりしていましたが、現代においては、文字通り喫煙所は煙たがられるだけで、喫煙者も激減しています。
この、ちょっとした飲食スペース店は、週末(商業テナントとしての週末は、日曜日の夕方から夜)であればその商業施設に勤める人は無料にしてしまうことも考えているそうです。
そうすると、これまでは無理して販促活動して呼び込んでいた人が、勝手にやってきて勝手にしゃべり始める、それ自体が他の人たちの吸引力になるのではないかという期待です。
無理して販促費を予算消化のために使って、クリスマスパーティーとかボーリング大会とか主催しても、それが施設内のコミュニティ育成に本当に役に立つのかというのは実に懐疑的で、実際横のつながりができたという話は筆者も寡聞にして聞きません。
そして、このスペースがあることで、例えばその日のレジ締めの作業を終えたテナントのスタッフさんが、適当に買ってきたおつまみやビールで、違うフロアの他のテナントの、今まで見かけたことしかないスタッフさんとちょっとした話をする、そんな面白い景色を作るという野望です。
少子高齢化でものすごく物販、サービス消費の厳しい時代、昭和の高度経済成長期を生きてきた本社のもうおっさんおばさんになっている人たちには感じることのできない現場の厳しさ。
きつい一日のシフト仕事が終わった後、そんな愚痴やら自分の温めている夢を語りあったりする場所や共有できる時間があれば、少しは明日への活力につながるはずです。
そんな、営業が終わった昼は華やかな商業施設の一角で、何やらレトロなタイムカードの機械を囲んで楽しそうな雰囲気の店内を遠目に見た、その商業施設の隣のお店に立ち寄ったほかのお客も、もしかしたらその立ち飲み屋に立ち寄るかもしれません。
施設の全体管理者としては、そんな疲れたスタッフの顔を見るのはつらい、そして販促費の残りがあるのなら、生きた使い方をしたい、そのような思いでこの企画を通してくれたのでしょう。
コンクリートの大きな商業施設という檻の建物の縦と横を、いわば磁石のようにくっつけて、本当に人が交流できるコミュニティを作っていけるかもしれない、という一見陳腐な、それでも破壊的な可能性を秘めた、そんなプロジェクトが福岡の、とある一等地商業施設の片隅で始まります。
お店の名前は「タイムカード」
さあみんな打刻せよ
ご期待ください
立ち飲み屋でも、スタッフさんに話しかけられるか自信のない筆者からは以上です。
(2018年5月11日 金曜日)
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