王将社長射殺事件

中華料理チェーン「餃子の王将」を展開する王将フードサービスの社長だった大東(おおひがし)隆行さん=当時(72)=が平成25年に京都市山科区の本社前で射殺された事件で、京都府警と福岡県警の合同捜査本部が、王将創業者の長男らの自宅を事件の関係先として家宅捜索したことが2日、捜査関係者への取材で分かった。

【表でみる】王将を巡る不適切な取引と流出額・未回収額

創業家が経営を担っていた時代に、特定の企業グループの経営者と巨額の不適切取引をしたと指摘されており、捜査本部は事件との関連の有無を調べている。

捜査関係者によると、経営者は創業家の知人。捜査本部は長男やこの経営者のほか、王将の元役員らからも任意で事情聴取している。

殺人容疑などで逮捕された特定危険指定暴力団工藤会(北九州市)系組幹部の田中幸雄容疑者(56)と、大東さんや王将側との接点は確認されていない。

王将を巡っては事件後の28年、同社が設置した第三者委員会が、創業家とこの企業グループとの不適切取引が長年存在していたとする報告書を公表。長男らに代表権が移った平成6年ごろから、王将側から200億円超が流出し、約176億円が未回収になっていることが明らかになった。

報告書によると、大東さんは12年の社長就任後、不適切取引の解消に乗り出した。24年からは王将内部で不適切取引について調査を進め、翌25年11月に調査報告書がまとまったが、ほとんどの役員と情報が共有されないまま、約1カ月後に大東さんは殺害された。