全仏テニス失格

かつて、アンドレ・アガシがピート・サンプラスとの試合前、体調不良で2時間待って欲しいとの相手からの要望が入ったことがあった。この要望を断りただで勝ちを拾う事ももちろん出来たが、アガシはサンプラスが万全の状態になるまで幾らでも時間を使っても構わないとコメントし、そしてサンプラスは彼を称賛するコメントを出した。そしてアガシは試合に負けたわけだが、このことで彼の人気、知名度はとてつもないものとなった。勝敗よりテニス選手として万全の試合ができるという歓びを優先することを体現するまさにプロの人格であった。

そして、今。テニスの4大大会「全仏オープン」の女子ダブルス3回戦で第16シードの加藤未唯(ザイマックス)とアルディラ・スーチャディ(インドネシア)組が失格処分を受けた。加藤スーチャディ組はマリエ・ブズコバ(チェコ)とサラ・ソリベストルモ(スペイン)組と対戦したが、試合途中に加藤が相手コートへ向けて返した球がボールガールを直撃するアクシデントが発生。審判は一度は警告にとどめたが、ブズコバとソリベストルモが失格を主張した結果、裁定が変わり失格処分が下された。

人柄というのには程遠い、試合中に相手側の失格を主張する選手というのが出現したのも、一度は警告にとどめておきながら裁定を変えて失格にした主審の判断にも、注目したい事案だった。