書くことがないからこそ「場」のもつ重要な役割や大切さについて書く
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| 宮本武蔵 |
おはようございます。
2016年12月の記事です。
新しい発想ややり方を創造したり、新規の取引先を開拓するときなどに本当に必要なのは作業スペースとしての事務所ではありません。
作業場所として効率的で、例えば電話机コピーパソコンが全て揃っていて必要な文書やファイルがすぐに取り出せるようなキャビネやラックがあるというだけでは、肝心の、「そこで何をやるのか」というのが見えてこないのです。
事務所は(やることは決めていて)どのようにやるか、早く作業できるかという場所ではあっても、そもそも業務の最初のとりかかりになるべき発想が出てくる場だとは限らないのです。
新しい顧客を見つけさえすれば、提案資料を作って刷りだして、社内に企画として許可を貰って先方にプレゼンし、上手く進んで先方と導入過程に入ったら見積書や契約書の取り交わしに進んで、実務担当者を引きあわせて…といった作業の流れはすんなり出てくるのですが、そもそも自社にとって「新しい顧客」というのを想像するのが難しいところなのです。
それは、その見込み顧客に何を提示するのか、というのが曖昧であることから来ています。
単に儲けたいというのではその先の発想が出てこないのです。
制作の仕事をやっている業界ではさらに苦しみが増します。
「スラムダンク」「バガボンド」といったメジャータイトルを執筆している漫画家の井上雄彦氏の事務所はさすがの広さと設備と資料にあふれていますが、ここでは新しいネーム(漫画を描く大まかなコマ割り構図、セリフ、キャラクター配置などを大まかに表したものであり漫画の命になるところ)は出てこないといいます。
そこで、井上先生はぶらぶらと自身が気に入った数カ所(候補は数十箇所あるようですが吟味の上で数軒の「先発行きつけ」に集約されるようです)の喫茶店などを渡り歩きながら、時には籠ってこの肝心な「業務」に没頭するのです。
我々のような素人でも、何をやるかを決めてイメージすることが最も難しく、それ以降は「やるだけ」の作業です。
作業部分の効率化は様々な手法が喧伝されていますが、その前の部分については直感のみが試されると言って良いと思います。
漫画で、何を?(バスケとか)誰を?(宮本武蔵とか)描くと決めるところから全て始まるのですが、その最初の意思決定は完全に一人きりの世界です。
そういうわけで、無から有を最初に生み出すために、人は試行錯誤し勉強し学習し行動しのたうちまわるのかもしれません。
実は書く話がない、ということで書き始めてしまい、こうしたことを話題にするしかなかった筆者からは以上です。
(平成26年1月26日)
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