ほぼ雑談ですが「黒い三連星」というお題で面白い話をいたします
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| 黒い三連星 |
おはようございます。
2016年12月のビルメン王(@shinya_ueda)提供によりますブログ創作記事です。
今のところ架空の商品開発の話です。
ただし今後実現するかもしれません。
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平成も四半世紀が過ぎようとしていた年末のこと、わが国の筆記用具業界は商品の単価下落、海外の安価製品の攻勢を受け壊滅寸前であった…。
地方の中堅ボールペン会社である慈恩(じおん)の商品開発部で、霧紫亜(きりしあ)部長の下、鎧亜(がいあ)、折手賀(おるてが)、末主(まっしゅ)の三兄弟部員は、こうした危機を打開すべく今までのボールペンの常識を覆すブレイクスルーを考えていた。
早くしなければ、このままでは我が社は市場のコモディティ化の波に飲まれてしまう!
当時の心境を三人は赤裸々に語ってくれた。
三人は、異なる色を一本のボールペンで出すことのできる多色多機能ボールペンにその活路を見出そうとしていた。
第一の試作品として百色の多色ボールペンを試作しこれを百式と名付けたが、これは重量と太さが大根並みとなってしまい、両手で握って書くかガリバーを絵本かラピュタの国から連れてこなくてはならないことが判明したために断念した。
三人は、鉛筆をくるくる回しながら考えた…。
ふと末主(まっしゅ)がつぶやいた。
「多色ボールペンって、結局黒ばっかり替芯しているよね…」。
そうなのだ。折しも世に存在するボールペンの文字色は90%以上が黒であり、残りもほとんどが「赤」「青」が占めるという調査結果が出たのであった。
その証拠に、世の中には3色でも黒のインクだけが切れている「2色」ボールペンが会社の使用済み文房具入れに大量に眠っているではないか!
さりとてボールペンの黒替芯を常備しておき取り替えるのは消費者には大変面倒だ。
だったらボールペン自体に黒を複数在庫したらいいんじゃないか?
ここに3色ボールペン「黒い三連星」のアイデアが誕生した瞬間であった。
試作したところ、3色ボールペン「黒い三連星」は更に驚きの性能を発揮した。
どの芯をノックしても黒色の色が出るのである。
これは、危急の、たとえボールペンのインクが切れてしまったときにもスムーズに換えの芯が出せる、お守りのような画期的な発明である。
つまり、黒はどれかとノックする前に確認する手間がいらないのである。
画期的であった。
これで間違って大事な契約書サインやラブレターの文字が赤面したり、真っ青になったりすることもない。
3人はこれは行ける、戦えると確信した。
その後の商品の大ブームは、世の皆さんのご存知のとおりである。
追い込まれた3人が生み出したジェットストリーム・アタックは見事ヒットしたのであった…。
ボールペン業界よ、永遠に…。
(2016年12月3日)
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