池田佳隆衆議院議員らを逮捕
政策担当秘書と共に逮捕
自民党・安倍派の政治資金パーティーをめぐる事件で、東京地検特捜部は、派閥から約4800万円のキックバックを受けたとみられる池田佳隆衆議院議員らを逮捕した。体調不良を理由に2023年12月5日頃から国会を欠席しており、本人から疑惑について説明はなかったが、東京地検特捜部は、「池田が政策秘書と共謀し、政治資金収支報告書にうその記載をしていた」として、2024年1月7日に池田と政策秘書の2人を政治資金規正法違反の疑いで逮捕したものです。
政治資金規正法違反の疑いで逮捕されたのは、衆院議員で安倍派の池田佳隆容疑者(愛知3区)。池田容疑者は会計責任者と共謀して、2022年までの5年間に派閥から約4800万円のキックバックを受け、池田容疑者側の収支報告書にも記載していなかった疑いがもたれている。
特捜部は2023年12月27日、池田容疑者が住む議員宿舎や衆議院第二議員会館の事務所などを家宅捜索していた。
特捜部は、池田容疑者が不記載についても把握していたことから、収支報告書を作成する会計責任者との共謀が成立すると判断し、逮捕に踏み切ったものとみられている。
関係者によると、池田容疑者はこれまでの任意の調べに、容疑を否認しているという。
自民党の安倍派に近い政治評論家の中には、政治家の逮捕はないと明言する人もいました。議員らが政治資金規正法違反を単なる「形式犯」にすぎないと甘くとらえ、捜査の行方を楽観視している姿勢がうかがえました。
というのも、収支報告書には自主的な「訂正」に対する規制がなく、提出後に収支額などを自由に訂正できる仕組みとなっているため、何か問題があればあとで訂正すればよいというのが議員の発想であり、現に訂正が常態化しているからです。
しかし、裏金の大小を問わず、形式犯も立派な犯罪ですし、不記載は最高で禁錮5年であり、有罪になれば罰金刑でも選挙権や被選挙権が停止されます。
すでに特捜部は大野泰正参院議員らの関係先も捜索しており、今回の池田佳隆衆院議員の逮捕が議員立件の皮切りとなることが期待されます。通常国会まで時間との戦いになりますが、派閥幹部らを含め、徹底した捜査による真相の解明が求められます。
政策活動費は記載不要との派閥指示が詭弁と知りつつ池田さんは直近5年で4000万以上裏金化していたのだ。逮捕されて当然だ。 だが発覚した疑惑の本質は、これまでの限定的に露見した腐敗ではなく、派閥ぐるみという前例のない規模で裏金捻出をしていたことだ。 派閥による犯罪は言うまでもなく組織的犯罪だ。そう踏まえると悪質性も前例では測れない程高く、過去に例のない事態に直面しているのが今なのだ。 いずれにせよ、派閥中枢の幹部等が裏金捻出の指示役であり、池田さんは受け子みたいなものだ。 検察の大規模な捜査は指示役を立件する強い覚悟を踏まえたものだと信じたい。
補記
同年12月10日、朝日新聞は、大野が直近5年間で5,000万円超、池田佳隆と谷川弥一がそれぞれ4,000万円超の裏金のキックバックを受けた疑いがあると報じた。12月22日、安倍派においては、議員側の「中抜き」を含む3つのパターンで裏金づくりを行っていたことが関係者の証言により明らかとなった。12月25日、安倍派では少なくとも参議院議員選挙があった2019年と2022年に開いたパーティーについて、改選となる参議院議員に販売ノルマを設けず、集めた収入を全額キックバックしていたことが報道により明らかとなった。
^ 2023年11月24日、総務省は2022年分の政治資金収支報告書を公表。自民党5派閥がそれぞれ同年に開催した政治資金パーティーの収入額もあわせて公表された。金額は清和政策研究会(安倍派)が9480万円、志帥会(二階派)が1億8845万円、平成研究会(茂木派)が1億8142万円、志公会(麻生派)が2億3331万円、宏池政策研究会(岸田派)が1億8328万円。安倍派はパーティ開催時で所属国会議員98人を有する最大派閥であるにもかかわず収入の金額が著しく低いことが明らかとなった。
^ 安倍派における裏金づくりの3つの手法の詳細は以下のとおり。
(1)支援者は派閥の口座に直接代金を振り込み、派閥側はノルマ超過分を議員に還流(キックバック)する。
(2)支援者は頼まれた議員の口座に代金を振り込み、議員は振り込まれたパーティー券代のうち、ノルマ分だけを派閥に納めて「中抜き」し、残った分は手元にプールし事実上の還流とする。
(3)支援者は頼まれた議員の口座に代金を振り込み、議員はその全額を派閥に納め、派閥側はノルマ超過分を議員に還流する。
^ 2019年改選時の安倍派所属の参議院議員と2022年改選時の同所属の参議院議員のそれぞれの内訳は下記のとおり(当選回数順)。詳細不詳の井上義行についてはその他とした。2020年8月入会の吉川有美(2019年改選)と2023年4月入会の片山さつき(2022年改選)は含めていない。
2019年改選
橋本聖子、世耕弘成、衛藤晟一、北村経夫、西田昌司、古川俊治、丸川珠代、宮本周司、森まさこ、赤池誠章、石井正弘、石田昌宏、太田房江、大野泰正、酒井庸行、滝波宏文、長峯誠、羽生田俊、堀井巌
2022年改選
山崎正昭、岡田直樹、末松信介、野上浩太郎、山谷えり子、山本順三、上野通子、江島潔、長谷川岳、佐藤啓、松川るい、山田宏
その他
井上義行