ドリル優子蒸し返し
ドライバー池田
茂木派の中でも「将来の首相候補」と目されてきた小渕氏だが、すぐに小渕氏について行こうという動きが広がらない背景には、やはり「ドリル事件」がある。
「昨年9月の党役員人事で選対委員長に就いた小渕氏ですが、ドリル事件について問われて涙目で答えるなど、いまだ影響は残っています。しかも、今回逮捕された池田佳隆容疑者の秘書が『池田容疑者の指示で、事務所のパソコンをドライバーで壊した』と話したことが報じられたことで、『ドリル優子』も蒸し返されてしまいました。今後も池田容疑者の裁判などのたびに『ドライバー池田』と『ドリル優子』がセットで思い出されるでしょう」(全国紙政治部記者)
一方、茂木派の分裂含みの騒動でいったん胸をなでおろしているのが、安倍派幹部だ。
「茂木氏から離党や議員辞職を迫られた安倍派幹部ですが、茂木氏自身の足元がゆらぎ、それどころではなくなっているため、離党や議員辞職を求める圧力はいったん弱まりました。安倍派5人衆を通じていまだに政界に力をもつ森喜朗元首相も、5人衆が党内に留まれるよう、麻生太郎副総裁らに働きかけたようです」(同)
安倍派は30日、常任幹事会を開いたが、安倍派幹部は改めて離党や議員辞職を否定。若手・中堅議員は塩谷立座長に対し、政治責任をとるよう決議文を提出したが、幹部はのらりくらりとかわしている状態だ。
「茂木の乱」の不発、再びスキャンダルを蒸し返された「ドリル優子」、責任をとらないままで若手・中堅の不満を解消できない安倍派幹部……。『ポスト岸田』が次々と自滅していくなか、一番得をしているのは、岸田首相かもしれない。
自民党の派閥パーティー収入不記載事件で、約4800万円を裏金化、政治資金収支報告書に記載しなかったため、1月7日に政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で東京地検特捜部に逮捕された衆院議員の池田佳隆容疑者(57)。
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疑惑が持ち上がった当初は「在宅起訴になるのではないか」(事件担当記者)とみられていたが、ふたを開けてみれば身柄拘束をともなう逮捕になった。
「大きな理由は、証拠隠滅の恐れでした。逮捕前の12月27日、特捜部は名古屋の事務所などに家宅捜索に入りました。
そのとき、収支を記したメモ書きの所在不明やパソコンのデータ消去が確認されたのです。在宅起訴ではさらなる証拠隠滅の恐れがあるため逮捕に踏み切りました」(同)
証拠隠滅の具体的な手口は明らかになってこなかったが、池田容疑者の勾留期限の前日である1月25日、産経新聞が「ドライバーでパソコン破壊か」と報じた。
記事によると、押収されたパソコンにはドライバーのようなものでこじあけられた形跡があり、記録媒体が破損した状態。秘書は、池田容疑者側の指示でパソコンを破壊したことを認めているという。
報道が事実なら、きわめて悪質な証拠隠滅がおこなわれたことになるが、SNSにはさっそく「ドライバー池田」というワードが飛び交う事態になっている。
「1月26日に放送された『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)でも、政治ジャーナリストの田﨑史郎氏が『ドリル優子というのがありましたが、今度はドライバー池田と言われています』とネタ振りをしていました。
これにコメンテーターは『なんでドリルじゃなくてドライバーなんだろう』『破壊力は全然、違うと思うけど』などと盛り上がり、羽鳥氏が『笑いごとではないんですけど』と諌めていました」(週刊誌記者)
「ドリル優子」とは、自民党の小渕優子選挙対策委員長につけられたあだ名だ。経産大臣だった2014年、政治資金問題が発覚。家宅捜索前、事務所にあったパソコンのハードディスクがドリルのようなもので破壊されていたことから命名された。本人が説明責任を果たさなかったことから、いまもことあるたびに取り上げられる。
実際、ニュースサイトのコメント欄やSNSでは、
《ドリル優子に続いて「ドライバー池田」かよ。さすが自民党は人材豊富ですね》
《ドリルの教えが脈々と引き継がれています》
《ドライバー池田が証拠隠滅の疑いもあって逮捕されたのに、なぜドリル小渕優子は証拠隠滅とはならないのですかね?》
など、呆れ果てた書き込みが殺到。《破壊は自民党のお家芸》といった声も――。
1月25日の自民党臨時総務会で、岸田文雄首相は「政治改革に終わりはありません。引き続き党として、政治の、党の信頼回復のために議論を続けていかなければならない」と宣言したが、ドリルとドライバーがその出鼻をくじく格好となった。