大伴部博麻(おおともべのはかま)

大伴部博麻

==========

「私を奴隷として売ったお金で、
日本に帰るあの船に乗ってくれ!
唐の恐ろしい計画を
早く日本に知らせるんだ…」

時は遡って663年。

当時の東アジア情勢は、
混迷を極めていました。

そんななか、
唐(現在の中国)にいた
日本人の大伴部博麻(おおともべの・はかま)は
衝撃的なことを耳にしてしまいます。

「唐が、日本へ攻めるかもしれない…」

どうにかして日本に危機が迫っていることを
知らせたいと思うものの、

博麻には、帰国するための
お金がありませんでした。

「もう、こうするよりほかはない…」

博麻は、ある決断をします。

「私を奴隷として売ったお金で、
あの船に乗ってくれ!

私の代わりに
唐の計画を日本に知らせるんだ!」

彼は唐に滞在していた
仲間たちに懇願。

そして、博麻は自身を奴隷として売ったお金で
仲間を日本に帰国させました。

博麻の知らせは無事日本に届き、
天皇はすぐさま国防体制を強化。

唐による日本侵略の危機を
まぬがれることができたのです。

その後、
博麻は奴隷として
長いときを長安で過ごします。

博麻がやっと日本に帰国できたのは、
奴隷になってから、
なんと27年も経ったころでした。

博麻の行動に感動した
当時の天皇・持統天皇は、

彼へ直接、勅語(天皇のお言葉)
を与えました。

「朕は、朝廷を尊び、国を愛し、
 己(おのれ)を売ってまで
 忠を顕したことを喜びとする」

持統天皇のこの言葉は「愛国」の語源にもなり、
博麻の功績は、現在も福岡県八女市に
石碑として残されています。

しかし、博麻は、
戦前は人々に広く知られていたものの、
戦後の日本ではすっかり忘れられてしまいました。

ほかにも、大伴部博麻のように
偉大な功績を残しながらも
忘れられてしまった
英雄たちが大勢います。

その中の一人に
あの昭和天皇が、
心から尊敬していると
たびたび言及していた人物がいました。

その人物こそ、冒頭に取り上げた
「世界最強の国防を作った人物」です。

勅祭社の一覧

その人物の功績を
ぜひあなたに知ってほしいと思います。
その御方の名前は
天智天皇。近江国、今の滋賀県大津市に鎮座されます近江神宮の主祭神です。
白村江の戦い、その敗戦から今の日本の復興と礎を築き上げた
我が国日本の2度の大きな敗戦の一度目の経験者です。

持統天皇は、天智天皇の娘にあたります。