真面目な悪徳
2007年、神奈川県で軽微な交通違反がありました。
東京都豊島区に住む男性会社員(57)が左折禁止の交差点で左折して、見張っていた巡査に止められたのです。これはちょっとした全国ニュースとして報道されました。
なぜでしょう?
実は、男性会社員は以前にも交通違反をしていて、あと2点で免停という状況だったのです。仕事で車を乗り回すので、もし免停になってしまうと会社を解雇されてしまいます。(左折禁止違反は2点なので、つまり男性はアウトという状況です)
そこで、男性は涙ながらに巡査に懇願しました。
「頼むから、頼むから見逃してくれ・・・っ!」
巡査はそれに心動かされちゃったんですね。
「わかったわかった。だけど、見逃すのは無理だから、1点の携帯電話禁止違反で切符を切ろうか。それでいいね?」
「はいっ・・・はいっ・・・ありがとう、優しい刑事さん・・・っ!」
「まあまあ、これからは気をつけるようにね」(刑事ではないんだけどなぁ・・・)
いい話ですね・・・。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
しかし、話はここで終わらなかったのです。
2日後・・・男性は突然、
「うんっ、やっぱりあれはよくないっ!」
と思い、警察に出頭したのです。
「2日前に交通違反をした◯◯だけど、実はアレは左折禁止違反で、☓☓巡査にオマケしてもらいましたっ! 僕をきちんと罰してください!」
と。
男性は後にこう語っています。
「温情には感謝しているが、やっぱり良くないと思い直した」
これをされてしまうと、いくらあの神奈川県警といえども動かざるを得ません。
なにぶん古いニュースなので現役のソースが見つかりませんが、
>神奈川県警は19日、実際の違反より点数の低い違反で交通反則切符を切ったとして、虚偽有印公文書作成、同行使容疑で、神奈川署地域課の男性巡査(26)を書類送検し、減給10分の1(1カ月)の懲戒処分とした。
という処分が下りました。
どうでもいいような出来事なんですが、なんだかとてつもなく邪悪な事件ですよね。
全員が幸せな状況で話はついたのに、ただ自分が気持ちよくなりたいだけの動機で、全員を不幸にして、もらった恩を仇で返す。
邪悪というのは、時として「善意を行動に移した馬鹿の愚行」によって世の中に現れるものなのだな、ということがよく分かる好例だと思います。
邪悪な真面目さ、についての話を書きました。
どうかみなさん、このような馬鹿に巻き込まれて、不幸なことにならないよう、願っております。参考になれば幸いです。
神奈川県警さんは、かような記事で有名です。