行政書士試験(令和6年)振り返り
【行政書士試験(令和6年)振り返り】
今回、令和6年11月に行われた行政書士試験を受けました。
これは、令和6年7月に行われた司法試験予備試験短答式試験(満点270点)を、2点差(163点。合格点165点)で落としてしまった自分の再挑戦として不合格直後に受験を決めたものです。
ですので、この界隈でやっている真正の受験者ではありません。が、同じ法曹資格で出題範囲も非常に似通っており、本番の緊張感をもう一度味わい再度の挑戦をするという意味ではよい場だと選定しました。予備試験の模試を受けるより、本番と同様の問題の質と量、そして何より受験者層が分厚いことが受験の決め手でした。
出題範囲ですが、行政法分野が多くを占め、次いで民法憲法商法、その他の一般行政法、そして一般教養です。満点300点の試験で、180点(60%)の得点率で合格しますが、一般教養の問題14問中、6問以上正解しないと足切りを食らうという点が特徴的です。ですので、ここを落とすことなく乗り切る、本番でどんな問題が出るのかわからない、教養という名のクイズ選手権にも等しい緊張感が味わえる領域でもあります。ここも、前回落としてしまった予備試験の一般教養結果(60点満点中24点しか取れなかった)の苦い経験を払拭するため、もう一度トライしてみようと思ったところです。
結果、一般教養は14問中完答はできませんでしたが13問正解(52点/満点56点)。落とした問題もEUや米国のデジタルサービスや個人情報保護に関する時事問題で、これは対策できないと考えれば捨て問でいけると思いますので良かったです。さすがにこれだけ、当年50歳のおぢさんですから亀の甲より年の功、ということでその辺の秀才連中に負けるわけにはいかないというところでしょうか。
続いて、法律科目は165点/満点244点でした。122点以上が足切りラインですが、一般教養で取らなければならない最低限の足切りラインの24点を、総得点として必要な合格点180点から引いた、156点が目標でした。この点、165点(+9点)という結果で、一応上回る水準で着地することができました。しかしながら、予備試験と同様レベルと考えられる行政法で得点率が低かったこと、さらに民法の超基本論点でど真ん中直球の肢を切り損ねる、記述式問題で超基本論点の先取特権が出て来なくて差押えと書いてしまったりと、アラも目立つ結果でした。商法、憲法については特段の問題はなかったですが、やはり完璧を期すにはまだまだ実力不足です。日々の鍛錬と訓練、思考能力を高めることが必要なのでしょう。
例年、44,000人くらいの受験者がいて、5,100人くらいが合格する、合格率は11%程度(10年平均)の難関資格です。一発合格者は予備校アンケートによると1/3程度。しかも、自己採点ながら217点という得点は、おそらく受験生全体の上位約1%に相当すると考えられますので、440番以内に入っている、これは例年の司法試験予備試験の最終合格者470人程度の中に入っているということになります。これは喜ばしい限りですが、この「高得点」は砂上の楼閣です。単に亀の甲より年の功、の一般教養で思わぬ高得点に恵まれた下駄ばき結果であることは論を待たないからです。気を引き締めてかからなければなりません。
ここで、少し横道にそれて行政書士試験
「合格者の得点分布」を見てます。
高校数学レベルですが、平均点をどこに設定するかによりますが、
180点(11.1%)偏差値62.17
190点(6.86%)偏差値64.87
200点(3.96%)偏差値67.55
210点(2.14%)偏差値70.24
220点(1.09%)偏差値72.93
230点(0.52%)偏差値75.62
行政書士試験の総合点が、
「210点」以上の方は、
全体の約「2%」
「220点」以上の方は、
全体の約「1%」
しか存在しないことが分かります。そのため、受験生全体の「99%~98%」は、この得点に達することはなく、可処分時間が少ない方が、(ここ数年の行政書士試験で)210点以上を得点することは困難を極めます。なぜなら、偏差値にすると「70」以上となるため、「点数を取り過ぎ」ている、つまり、試験勉強に費やす
「時間が膨大」「課題が大量」
であると考えられるからです。つまり、非効率な勉強をしているのです。このレベルはさっと「卒業」して次のステップに移行する必要があるわけです。(この場合、試験勉強に費やす「時間が膨大」「課題が大量」であるケースの他に、数千人規模の受験生を必要とする例として、220点以上の合格者を「11名~20名」輩出するためには、計算上は分母数として、「1000人以上~2000人」の受験生数が必要となります。)年度にもよりますが、得点分布から考えると、可処分時間が少ない社会人の方にとって、効率的な目標点は「196〜198点」ライン程度だと言えましょう。
筆者は、この点、ちょっとやりすぎた感もあります。本当に社会人なのかよと言われたりもします。そうです、改めて見ると変態です。今日は3:50 起き、もっと、基本的知識を体系的にそろえてきっちり及第点を取るようにしないと、また来年の予備試験で苦杯を舐めることになるでしょう。自分への戒めを込めて、ここに書いておきます。いずれにせよ、令和6年、2024年8月に受けた予備試験短答不合格に報いる一定の成果を出すことができました。応援してくれた方、なんとなく興味を持って下さった方、界隈での反響の大きさに少々驚いております。受験直後、試験場を出てすぐ予備試験の勉強に戻れました。まだ筆者には可能性が残されているようです。
これで、漫画「カバチタレ!」の大野センセイや主人公の田村さんにはなれそうです。引き続き、ナニワ金融道の悪徳栄弁護士先生を目指します。同作品の秀逸なエピソードに海事代理士の話も出てきますのでそっちの出演もかないます。海の行政書士、海事代理士と(陸の)行政書士。おい、代書屋とでもお呼びください。あと失敗談も書いておきます。法律系専門資格は海事代理士と行政書士のダブル保有になりました。合わせて不動産系専門資格の、宅建士、マンション管理士、住宅診断士を持っているので、「サムライ」資格は5つになりました。一方、弁護士(4回失敗)、中小企業診断士(3回失敗)、社労士(5回失敗)という不合格の歴史も積んでいます。
目指すは加藤一二三九段。負け数は、通算で1180敗です。これは、史上最多の敗戦数です。加藤一二三は、1940年1月1日生まれ、筆者と同じ福岡県、稲築村(現嘉麻市)出身の将棋棋士です。1954年に14歳7カ月で史上最年少のプロ棋士(四段昇段)となり、2017年6月20日に現役を引退するまで62年10カ月にわたって活躍しました。加藤一二三の通算成績は、1324勝(歴代3位)、1180敗(歴代1位)、2505局(歴代1位)です。また、棋王や十段(竜王位の前身)などタイトル獲得は合計8期、棋戦優勝回数23回(歴代4位)を誇ります。
神武此の方以来の天才。加藤一二三。負けた数がこの天才の勲章です。この歳にして、第一線で勝負し続け、多くの本気の試合の場を経て、多くの勝ちと多くの負けを積み上げることができる才能と努力。歴代3位の勝ち数を大きく上回る存在感を示すのは、歴代1位の負け数と対局数。これこそ我の目指すところなり。
以上