キックバック

【キックバック】今だから言える見てはいけないものを見た話です。昔昔、バブル華やかなりしときも過ぎ、長い不況の中に喘ぐ時分に、大学生の自分が、ガソリンスタンドでバイトをしていた時のことです。そのガソリンスタンドは、お金持ちたちがたくさん住んでいる街で、しばしば、お付きの運転手がガソリンを入れにやってきました。ところが運転手の多くが、下っ端の自分ではなく、なぜかわざわざ店長を呼ぶのであります。ずっと後になって知ったのですが、たとえば20リットル、入れていないのに入れたことにして、その差額を運転手に渡していた、とのことらしかったのでした。運転手は自分の雇い主にガソリン代を請求すればいいので、自分の懐は全く痛まないわけです。この店側のメリットはわかりません。ガソリンをたくさん入れてくれる固定客ができるからOKなのか、それともいくらか山分けしてもらっていたのか、それはわかりません。しかしながら、店長も会社の信用を毀損しており懲戒ものでしょう。もう少しうまくやるならば、ガソリンの単価を変えずに多く売って、一部をインセンティブとして運転手にキックバックすればあるいは合法だったかもしれませんね。ガソリンスタンドは当時から令和の今まで経営が苦しい業界だったので、自分はこうした庶民のセコい振る舞いにどちらかといえば同情的です。与党の裏金作り問題、にも通じるところがありますね。ですが、自分もいつか、運転手を雇う大金持ちになったならば、運転手のガソリン代請求には気を付けて、そんなことさせない程度のまともな報酬で報いたいなと思います。以上